著者
森 智夫 川添 裕幸 堤 祐司 近藤 隆一郎
出版者
日本きのこ学会
雑誌
日本きのこ学会誌 (ISSN:13487388)
巻号頁・発行日
vol.22, no.3, pp.107-113, 2014

スギ植林地内に放置された風倒木あるいは間伐材を,林内で腐朽処理が可能な木材腐朽菌を単離し,その腐朽菌による周辺環境への影響を推定することを目的として検討を行った.スギ植林地などから高いスギ木粉腐朽能を有する木材腐朽菌としてキチリメンタケと,一般に広く分布する木材腐朽菌であるカワラタケの二種を選抜した.これらを半年以上放置されたスギ間伐材に接種することにより,間伐材を短期間で腐朽できることが確認できた.さらに,今回供試した菌株は隣接するシイタケほだ木への感染力を,分子生物学的手法により評価したところ,今回の試験においてはほだ木への感染は確認できなかった.よって,植林地などで間伐放置材などの生分解処理に用いるのに,生態系撹乱の懸念が低いものと期待される.

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