- 著者
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湯浅 幸代
- 出版者
- 日本文学協会
- 雑誌
- 日本文学 (ISSN:03869903)
- 巻号頁・発行日
- vol.56, no.9, pp.23-30, 2007
『源氏物語』の朱雀院行幸で光源氏に与えられる「色々うつろひえならぬ」菊の「かざし」には、これまで様々な意味が読み取られてきた。本稿では、この「かざし」が紅葉から差し替えられたことを重視し、紅葉と菊の「かざし」の特性、及び紅葉と菊を対にして詠う私家集の和歌を参考にしながら、光源氏の菊の「かざし」の意味を再検討した。光源氏の「かざし」は、紅葉と菊の対照的な美意識を表し、菊花は、桐壺帝の恩恵を示す時勢の象徴となる。