- 著者
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山崎 覚士
- 出版者
- 佛教大学
- 雑誌
- 歴史学部論集 (ISSN:21854203)
- 巻号頁・発行日
- vol.5, pp.65-82, 2015-03-01
本稿は宋代都市における下層民を中心とした人口構成と、その都市内分布を考察した。そのために、従来十全に活用されなかった下層民に対する救済措置である賑済に関する史料をより詳細に分析し、賑済時における都市下層民の等級を明らかにした。その結果をふまえて明州城における都市下層民の人口割合をおよそ6割と概算した。さらに明州城内における下層民の分布状況を考察した。資産を有さない無産下層民は明州城の繁華な区域には比較的に少なく、むしろ月湖をたたえる西南区域に多かった。また零細な資産を有する微産下層民は城外区域に多かった。むしろ城外区域の発展は、そうした微産下層民の集住を起因とした。以上のような分析はこれまでの中国都市史研究に新たな成果をもたらすものである。