著者
山崎 覚士
出版者
佛教大学歴史学部
雑誌
歴史学部論集 (ISSN:21854203)
巻号頁・発行日
no.7, pp.77-95, 2017-03

本論は宋朝における朝貢の事例を概観したうえで、大中祥符二年以降から朝貢品に対して、その価格を判定し、その価格に見合う(あるいは上乗せした)回賜が行われるようになったことを明らかにする。この変化は、唐代で見られた儀礼行為としての朝貢―回賜が、対価に対する支払いの要素を持つ貿易行為への移行を意味した。また朝貢―回賜が貿易行為へと変化するに伴い、朝貢―回賜の行われる場所が国境付近の辺境都市でも担われるようになり、南宋期になると、一時期を除いて、朝貢―回賜は辺境都市で済まされるようになった。中世帝国朝貢回賜貿易
著者
山崎 覚士
出版者
佛教大学
雑誌
歴史学部論集 (ISSN:21854203)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.65-82, 2015-03-01

本稿は宋代都市における下層民を中心とした人口構成と、その都市内分布を考察した。そのために、従来十全に活用されなかった下層民に対する救済措置である賑済に関する史料をより詳細に分析し、賑済時における都市下層民の等級を明らかにした。その結果をふまえて明州城における都市下層民の人口割合をおよそ6割と概算した。さらに明州城内における下層民の分布状況を考察した。資産を有さない無産下層民は明州城の繁華な区域には比較的に少なく、むしろ月湖をたたえる西南区域に多かった。また零細な資産を有する微産下層民は城外区域に多かった。むしろ城外区域の発展は、そうした微産下層民の集住を起因とした。以上のような分析はこれまでの中国都市史研究に新たな成果をもたらすものである。