- 著者
-
中塚 健一
- 出版者
- 太成学院大学
- 雑誌
- 太成学院大学紀要 (ISSN:13490966)
- 巻号頁・発行日
- vol.17, pp.215-221, 2015-03
米ハーバード大学のマイケル・サンデル教授による政治哲学の講義が放映されたのをきっかけに,日本でも「哲学ブーム」が起きた。日常生活とは縁遠いと思われる哲学を,身近に起こりうるジレンマを用いて議論するスタイルが,多くの人々に受け入れられた。わが国の教員養成課程の「教育学」関連の講義でも,教育哲学などが扱われているし,また,ジレンマに立たされることを想定して思考を深めていく講義なども実践されている。しかし,学校教育と哲学的課題を関連づけるのは難しいと学生には受け止められ,敬遠されがちであった。本稿は,哲学の問題を,社会生活で起こりうるジレンマと関連させながら,学生の思考を深めていく手法をとるサンデルの講義から,教育の直面する課題と哲学の関係を探り,教職課程の講義の改善につながるヒントを見出すことを試みる。