著者
大島 丈志
出版者
日本文学協会
雑誌
日本文学 (ISSN:03869903)
巻号頁・発行日
vol.52, no.9, pp.53-63, 2003

本論は、宮沢賢治の「グスコーブドリの伝記」を、岩手県の農業状況と賢治の農業思想を踏まえて新たに読み直したものである。賢治は、商品経済の中でいかに農村を発展させるかという構想をもち、将来性のある蔬菜栽培を実験的に行っていた。本作品にも冷害に強い商品作物を作る農民が登場する。彼が将来の農村の可能性を示す農民の先駆者として表現されることによって、主人公の死は将来への期待を残した死だと考えられるのである。

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「グスコーブドリの伝記」論 : 一九二〇から一九三〇年代における宮沢賢治の農業思想を背景として https://t.co/munJJMG9rW

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