著者
大島 丈志
出版者
日本文学協会
雑誌
日本文学 (ISSN:03869903)
巻号頁・発行日
vol.52, no.9, pp.53-63, 2003

本論は、宮沢賢治の「グスコーブドリの伝記」を、岩手県の農業状況と賢治の農業思想を踏まえて新たに読み直したものである。賢治は、商品経済の中でいかに農村を発展させるかという構想をもち、将来性のある蔬菜栽培を実験的に行っていた。本作品にも冷害に強い商品作物を作る農民が登場する。彼が将来の農村の可能性を示す農民の先駆者として表現されることによって、主人公の死は将来への期待を残した死だと考えられるのである。
著者
浜垣 誠司 柴山 雅俊 石原 次郎 鈴木 健司 大島 丈志
出版者
文教大学
雑誌
言語と文化 = Language and Culture (ISSN:09147977)
巻号頁・発行日
vol.34, pp.126-89, 2022-03-16

This report is a record of a symposium aimed at analyzing the imagination of Kenji Miyazawa’s work from a psychiatric perspective. Some of Miyazawa’s works are highly recordable and are interpreted as reflecting his realistic situation. This report takes the poem “Shukan”, and analyzes it from the perspective of “dissociation”, showing that it can be interpreted as “imaginary companion”.
著者
大島 丈志
出版者
日本イメージ心理学会
雑誌
イメージ心理学研究 (ISSN:13491903)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.15-20, 2020 (Released:2022-03-07)

宮沢賢治作品では異世界が現実世界に非常に近い所にある。その背景には作家の「空想傾向」の資質があると考えられる。作品では異世界に⼊ることで主体性に変容がおこり,「異世界」の変容の機序には「匂い」が深く関わると考えられる。そして「異世界」と現実世界との往還を冷徹に見つめる「詩人の眼」があり「異世界」と現実世界の往還をある程度,統制し得ていると考えられるのである。
著者
大島 丈志
出版者
千葉大学大学院社会文化科学研究科
雑誌
千葉大学社会文化科学研究科研究プロジェクト報告書 (ISSN:18817165)
巻号頁・発行日
no.120, pp.12-21,

千葉大学社会文化科学研究科研究プロジェクト報告書第120集『日本近代文学と宗教』所収