著者
綾屋 紗月
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理 (ISSN:04478053)
巻号頁・発行日
vol.56, no.6, pp.555-557, 2015-06

私たちは当事者研究会の活動を通じ,発達障害,特に自閉スペクトラム症の診断基準がもつ弊害を感じてきた.どこまでが社会問題として考えられるべきで,どこからが個人が持つ変えられない特徴なのかを公平に切り分けるには,少数派が自己を探究する当事者研究と多数派の社会を探究するソーシャル・マジョリティ研究の両方が必要であると考え,当事者が抱える困りごとに注目した質問項目を作成し,その問いに対応する一般人口を対象とした研究紹介を様々な分野の専門家に依頼した.研究会を通して,学術的な研究が当事者研究の進展に寄与するだけでなく,逆に当事者研究の視点が複数の研究領域をつなぐ学際的な役割を果たす可能性が示唆された.

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