著者
榎本 浩章
出版者
中央大学
雑誌
法學新報 (ISSN:00096296)
巻号頁・発行日
vol.121, no.1, pp.151-204, 2014-06

文久二年(一八六二)の参勤交代制度改革について、これまでは、江戸幕府が諸藩を圧倒する存在ではなくなり、やむをえず緩和したという、消極的評価が主であった。しかし近年は、当時の幕政改革についても多角的な視点から研究が進んでいる。本稿ではそれらを参考に、軍事改革のための冗費節減策として、また当時重視されていた「公議輿論」の理念に沿った幕政改革の政治構想をうかがわせる実践例として、松平慶永・横井小楠など改革に携わった当事者の言動を検討した。 そして、参勤交代の緩和後が実際にどのような状況だったのかについては、これまで具体的な研究がされてこなかった。そこで、幕令や藩史などの史料を元に、諸藩の対応を検証したところ、緩和された参勤交代は確かに実践されていたが、当時の朝廷と幕府の対立、また対外的緊張や国内の治安悪化などといった要因から、諸大名は各地の警衛に動員されて国元に戻る事ができない場合が多く、改革の理想通りには運ばなかった。さらに元治元年(一八六四)、参勤交代を再び旧に復する幕令が出されたが、これについても従わなかった藩と従った藩とがあったことを明らかにした。

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榎本浩章「文久の参勤交代緩和と幕政改革について」(『法学新報』121-1・2、2014年)は、政事総裁職・松平春嶽と将軍後見職・一橋慶喜による文久幕政改革で実現した参勤交代緩和の意義、実態、緩和のその後の状況などを分析する。 http://t.co/vHO8bddevr

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