- 著者
-
山田 俊治
- 出版者
- 日本文学協会
- 雑誌
- 日本文学 (ISSN:03869903)
- 巻号頁・発行日
- vol.40, no.1, pp.1-13, 1991
『書生気質』では様々な戯作の趣向が再生させられている。小町田の来歴を語る第二回や、兄妹再会が言祝がれる大団円などで、会話中に示されるべきストーリーが地の文に転換されて語られる趣向もその一つで、『梅児誉美』に見出せるのである。しかし、その手法に対する認識には、彼我に異質な方法意識を読み取ることができる。両者の差異を、テクスト外の言表行為の主体である<作者>の問題として捉え、具体的に考察しようと思う。