著者
野平 慎二
出版者
教育思想史学会
雑誌
近代教育フォーラム (ISSN:09196560)
巻号頁・発行日
vol.19, pp.15-30, 2010

物語論(Narrative Approach)によれば、物語は物事や出来事の存在と意味を構成する基本的なメカニズムであるとされる。物語をとおした自己の存在(自己物語の語り)および変容(自己物語の語り直し)はいかに可能なのか。これについて考察することが本論の第一の課題である。また今日では、「大きな物語」の終焉の後に、「小さな物語」への囚われとでも呼ぶべき現象がみられる。こうした現象の歴史的な背景を探ることが本論の第二の課題である。「小さな物語」への囚われを回避するためには、弁証法的な発達の物語を支える、物語の存在論的な次元に目を向けることが必要である。このことは、自己物語の語り直し(語りえないものの意味づけ直し)が世代間の有意味な経験の伝承となるための条件ともなる。

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野平慎二「生成と物語 : 語りと語り直しの可能性の思想史(報告論文,生成と物語-語りと語り直しの可能性の思想史-,フォーラム1)」『近代教育フォーラム』19(0)、2010年。https://t.co/NyDCQiy2Wa

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