著者
岩田 克彦
出版者
社会政策学会
雑誌
社会政策 (ISSN:18831850)
巻号頁・発行日
vol.6, no.2, pp.63-76, 2015

デンマークでは,2013年1月から障害年金(障害者に18歳から老齢年金支給開始年齢[現在65歳]まで支給)とフレックスジョブ(65歳未満の永続的に重度な障害者に対し,使用者,障害者本人,自治体の三者合意に基づき,公的負担による所得補填を提供しながら,その個人状況に合わせた柔軟な就労条件での仕事を提供する制度)の大改正が行われた。障害年金,フレックスジョブの賃金補填とも,フレクシキュリティ政策の一環として他国に比べかなり手厚い内容であったが,改正後,(1)40歳未満の者には,原則障害年金は支給せず,1回あたり最長5年間の個人別の多様な支援措置により就業の道を最大限に探る,(2)フレックスジョブは,労働時間が週10時間以内の者も対象にし,公的助成を雇用主でなく直接個人に支給し,労働収入が低い者ほど多額の助成をすることになった。本稿では,今回の改正のインプリケーションを論ずる。

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