著者
田中 勝
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告 = IEICE technical report : 信学技報 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.114, no.306, pp.279-286, 2014-11-17

平行移動を指数関数からτ-拡張型指数関数へ拡張することでτ-情報幾何学の定式化を与える.この拡張された平行移動をτ-アファイン構造とよび,τ-アファイン構造をもつアファイン空間をτ-アファイン空間とよぶ.τ=sのτ-アファイン空間の元に対してτの値を1-sに置き換える操作をHolder共役とよび,縮約をτ=sで得られた量とそのHolder共役量を用いて定義する.互いにHolder共役なスコア関数の縮約はFisher計量を与え,平行移動の下で不変な量になっている.これが大域的ゲージ変換としてτ-アファイン構造を捉えることを可能としている.τ-対数尤度のくり込みを考え,エントロピーを定義する.このくり込みを用いて期待値を新たに定義する.くり込まれたτ-対数尤度との縮約を正規化したものが,エスコート分布の役割を担うことが示される.新たな期待値によりエントロピーを評価することで共形エントロピーを定義する.ところが,τ-対数関数には二種類の恒等式が存在し,それに応じた非加法性をエントロピーはもつことになる.τ-アファイン構造に基づいたτ-情報幾何学では,指数型分布族と非指数型分布族とを区別なく取り扱うことができ,従来の情報幾何学とは大きく異なる.

言及状況

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後年,社会人になり(東京で働くようになって),物理と統計学・情報幾何を結びつけて勉強することを始めたとき,実家の近くにある大学でまさにそうした研究を続けてきた研究者がいたことを発見して,もっと学生のころ勉強しておけばと思った. 1. https://t.co/PdPtgu6xGn 2. https://t.co/agjbgOii4i

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