- 著者
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佐藤 元
- 出版者
- 国立保健医療科学院
- 雑誌
- 保健医療科学 = Journal of the National Institute of Public Health (ISSN:13476459)
- 巻号頁・発行日
- vol.64, no.4, pp.292-296, 2015-08
医薬品の開発段階また新薬承認(上市)後の有効性・副作用監視においては,患者・一般国民の医薬品開発過程に関する理解,また臨床研究(試験)への参加・協力が不可欠である.そのため,臨床研究の公正確保,また出版バイアスの防止を主目的として,これらの事前登録制度が導入された.さらに,臨床研究(試験)に関する情報公開・普及啓発は重要な政策課題とされ,臨床研究(試験)登録情報の一般公開,さらに情報検索システムの利便性向上が求められるようになった.試験登録機関のみならず,先進医療の研究開発において大きな役割が期待されている国立高度専門医療センターや国立病院機構,各種研究・教育機関,製薬企業(団体),患者団体など多岐にわたる機関の取り組みが望まれている所以である.本稿は,我が国の臨床研究(試験)登録制度の歴史,情報の公開・利用促進が求められる背景を概説し,今後の課題を論ずる.