著者
稲葉 洋平 内山 茂久 戸次 加奈江 欅田 尚樹
出版者
国立保健医療科学院
雑誌
保健医療科学 (ISSN:13476459)
巻号頁・発行日
vol.64, pp.448-459, 2015-10

我が国は「たばこ規制枠組み条約(FCTC)」を批准し,「受動喫煙」「禁煙支援」などのたばこ対策は推進しているものの,「たばこ製品の規制」に関するたばこ対策は実行されていない.さらにここ数年間でメンソールカプセルを封入した紙巻きたばこ,無煙たばこ,電子器具を使用する「Ploom」,「iQOS」などの新規たばこ製品さらには電子タバコが販売されるなど,喫煙者を取り巻く環境が大きく変化しており,最近の調査では,禁煙の意思の低下が報告されるようになった.FCTC第 9 ,10条「たばこ製品の規制・情報開示」の実行は,たばこ製品の「毒性」,「依存性」,「魅惑性」を低下させ,喫煙者がたばこ製品の有害性を知る機会を増加させ,最終的に禁煙を選択することへの行動変容が期待される.さらに,たばこ対策を推進するための科学的根拠の蓄積がされる.これまで我々は,これを目的としてWHOたばこ研究室ネットワークとたばこ製品評価の標準化を行い,国産たばこ銘柄の各種有害化学物質の分析,日本人喫煙者の喫煙行動調査を実施してきた.その結果,我が国のたばこ製品は,海外産たばこ銘柄と比較すると有害化学物質の低減の余地があり,依存性,魅惑性の低下が求められた.日本人喫煙者は低タール・低ニコチンたばこの喫煙に伴う代償性補償喫煙行動によりたばこ煙曝露量が上昇することが確認された.今後,FCTC第9,10条に基づいたたばこ製品の調査を継続しつつも,早急なたばこ製品規制が求められる.

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