- 著者
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高岡 しの
- 出版者
- 日本笑い学会
- 雑誌
- 笑い学研究 (ISSN:21894132)
- 巻号頁・発行日
- vol.22, pp.63-74, 2015
本研究は、他者と関わる際にストレスを感じるような場面(以下、対人ストレス場面)のシナリオを用いて、ストレス対処のために産出された具体的なユーモアについてボトムアップ的に分類することを目的とした。大学生396名を対象に、対人ストレス場面を提示し、自身がおもしろおかしく過ごすためにどう考えるかを自由記述で尋ねた。得られた回答についてKJ法を参考に分類した結果、大きく5つのカテゴリーにまとめられた。5つとは、他者を積極的に楽しませようとする「遊戯的ユーモア対処」、相手からの行動を引き出して場を和ませようとする「受動的ユーモア対処」、自らの欠点をさらそうとする「自虐的ユーモア対処」、皮肉やからかいなどの他者に対する攻撃性を含むような「攻撃的ユーモア対処」、話の内容を先読みするなど自分で楽しみを見出すような「自己中心的ユーモア対処」であった。人は場面によってユーモアを使い分けて対処していること、得られたユーモア対処のカテゴリーは、理論的に提唱されたMartin et al.(2003)のユーモアの機能的分類と類似していることも明らかとなった。