著者
磯前 順一
出版者
日本宗教学会
雑誌
宗教研究 (ISSN:03873293)
巻号頁・発行日
vol.89, no.2, pp.193-216, 2015-09-30

近代ナショナリズムに対する批判が、人間の歴史的真正さへの志向性を相対化することに成功し、宗教概念論という新たな研究潮流を生み出した。その背景には一九六〇年代後半に始まるフランス現代思想の、ポストコロニアリズムあるいは植民地主義を介した一九九〇年代の動きがあった。こうした流れの中で、近代を中心とする日本宗教史の言説が流布しているが、一方で近世以前の時期に対する研究は影を潜め、近代が作り出した過去の言説として、近世以前の時期は扱われるにとどまった。同時にそうした固定化された日本宗教史研究は、ポストコロニアル研究などのもつ社会に不平等性に対する批判力を抹消させ、形骸化された制度史研究に宗教概念論の批評性を無効化させてきた。本稿ではこうした近年の傾向に一石を投じるために、非近代西洋的な余白として近世の信仰世界や民俗宗教を研究する可能性を理論的に模索する。

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磯前順一「 天皇制国家と余白 : 「国家と宗教」を論じるために」(<特集>国家と宗教) 『宗教研究』89(2)、193-216、2015 https://t.co/qfe4yUFVA9 #CiNii

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