- 著者
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隈元 晴子
- 出版者
- 藤女子大学
- 雑誌
- 藤女子大学QOL研究所紀要 (ISSN:18816274)
- 巻号頁・発行日
- vol.11, no.1, pp.25-33, 2016-03-31
地域社会のつながりの希薄化や家族のあり方の多様性などが、個人や家族を孤立させ、健康状態の悪化や孤食、虐待、孤独死などのさまざまな問題をもたらしている。それらを解決するカギとして、家族や地域における「人と人との絆」の再構築が求められており、地域コミュニティの形成や促進の主体として商店街への期待が高まっている。本論文では、商店街振興組合と大学生、NPO法人などが取り組んできたコミュニティカフェを拠点とする「子どもの居場所づくり」事業について、地域における活動の意義や役割を再検討することを目的として、2013年からの実践活動を振り返ることにした。コミュニティカフェの運営は、支援者や地域住民との間に信頼関係が構築され、商店街からの人的および経済的サポートがあることが持続可能性と安定性をもたらしている。そして、この活動が「子どもたちの問題」に目を向けた事業であることから、新たなつながりの拡がりを見せている。子どもたちへの支援を行っている大学生やNPOの活動が、より多くの人々の関心や支援を引き寄せており、今後の事業展開の方向性を示唆している。