著者
山崎 憲
出版者
社会政策学会
雑誌
社会政策 (ISSN:18831850)
巻号頁・発行日
vol.7, no.3, pp.129-140, 2016-03-31

アメリカの労使関係システムは,Dunlop [1958], Kochan, Katz and Mckersie [1986]により,階層的構造をもつ企業,労働者,政府をアクターとした団体交渉を基軸に整理されてきた。1990年代以降,労働組合組織率の著しい低下などにより,こうした仕組みが機能不全となるなか,団体交渉を経ずに関係者間の利害を調整する仕組みが広がりつつある。そこで扱われることは,職業訓練・斡旋や雇用創出,教育,生活に関連したことを含む。企業,労働者,政府以外の新たなアクターが加わるともに,円卓会議という利害調整のプラットフォームが現れ,中間支援組織が交渉力の再編成を行っている。団体交渉を規定する全国労働関係法も同じ流れのなかで解釈変更の動きがある。こうした状況をアメリカの労使関係システムの構造的な変化とみて,枠組みの再定義を試みるともに,日本からアメリカの労使関係システムをどうみるか,そして日本の研究の視座をどこにおけば良いかという若干の示唆を提示することが本稿の目的である。

言及状況

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昨年の3月のことになるが「社会政策」に投稿論文を掲載させていただいた。それは、アメリカの労使関係が職場での働かせ方、というワークルールにとどまるものではなく、社会や人間そのものに射程があったものだといたものだった。https://t.co/9tqIkaZ3vb

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