著者
赤川 元章
出版者
慶應義塾大学出版会
雑誌
三田商学研究 (ISSN:0544571X)
巻号頁・発行日
vol.48, no.5, pp.221-246, 2005-12

本稿は,19世紀末以降,清朝時代に展開した欧米列強,とくにドイツの銀行業による中国への鉄道投資の分析を主要対象としている。まず,ドイツの中国鉄道投資に関して,初期段階の模索過程を検討した後,鉄道建設を推進するに当たって,イギリス銀行グループとの協調が不可欠であった状況を説明する。そのうえで,ドイツの係わった主要な中国鉄道の設立過程を中心に分析していく。第1は,ドイツのみが独自に認可された山東鉄道会社である。ここでは,株式の追徴払い込みや「享受権証券」などの資本調達の特殊性に言及しつつ,経営状態などにも触れる。第2は,イギリスと共同投資を行った「天津―浦口」鉄道である。ドイツの鉄道事業に関する意思決定機関の構成を明らかにした後,鉄道路線計画,借款分担,返済計画などを検討していく。第3は,国際銀行シンジケートが関与した湖広鉄道問題である。ドイツ・イギリス・フランス・アメリカなど各国の銀行が鉄道建設の利権をめぐって抗争するが,この錯綜する交渉プロセスについて,主にドイツ・アジア銀行監査役会の議事録から追求していく。故玉置紀夫教授追悼号

言及状況

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TLで債権債務の承継について空中戦が繰り広げられているが例えば↓の清朝時代に米英独仏で計600万ポンドが起債された湖広鉄道建設資金の償還についてはどうなったのだ。これは誰が承継したのだ?随分と片務的なのだ。 赤川元章、2005「中国鉄道投資とドイツ・アジア銀行」 https://t.co/H7P1npCG3a

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