- 著者
-
西尾 治子
- 出版者
- 慶應義塾大学日吉紀要刊行委員会
- 雑誌
- 慶応義塾大学日吉紀要 フランス語フランス文学 (ISSN:09117199)
- 巻号頁・発行日
- no.42, pp.137-144, 2006
「日本ジョルジュ・サンド学会」(2004年に「ジョルジュ・サンド研究会」から現学会名に改称)のおおまかな歴史を辿ってみると、1986年、Christiane Sand女史を招いてサンドの展覧会および講演会を開催している(東京・西武美術館)。以降、二十一世紀に入ってからは、仏文学会開催時に、年2回の研究会を開くという地道なサンド研究を続けてきた。サンド生誕二百年記念の国際学会が世界各地で開催され始めた2002年頃から、学会員が積極的に海外の国際サンド学会に参加しあるいは発表をおこない、国際交流に貢献した。2002年のイタリア ・ ベローナ国際学会、アメリカ ・ニューオーリンズ国際学会、2004年夏のフランス・スリズィ国際コロック、ブルボン宮で開催された「政治」を主題とするサンド国際シンポジウム、作家の故郷ノアンで開かれた仏政府の文化・コミュニケーション省主催によるサンド生誕二百年記念国家祝賀典、ラ・シャートルのコロックおよび記念行事などが例として挙げられる。本稿では、国際的にサンド研究の気運が高まる中で、東洋で初めて国際サンド・シンポジウムを開催した「日本ジョルジュ・サンド学会」の2003年から2005年の足跡を時系列的に追ってみたい。