著者
片岡 大右
出版者
慶應義塾大学日吉紀要刊行委員会
雑誌
慶応義塾大学日吉紀要. フランス語フランス文学 (ISSN:09117199)
巻号頁・発行日
no.61, pp.71-99, 2015

1 回想の中の加藤周一 : 「象徴主義的風土」の案内人2 阿部良雄における「象徴主義的風土」の乗り越え3 近代文学史の神学的読解4 ロマン主義の展開としての近代文学5 ロマン主義論の二源泉(1) : 渡辺一夫6 ロマン主義論の二源泉(2) : ジャン・ゲーノ7 「人間性への信仰」8 おわりに
著者
藤崎 康
出版者
慶應義塾大学日吉紀要刊行委員会
雑誌
慶応義塾大学日吉紀要 フランス語フランス文学 (ISSN:09117199)
巻号頁・発行日
no.36, pp.108-54, 2003

核時代の使徒ーJ・G六徒ラバ1ウドロ『ヴィーナスの狩人』を読むー藤崎 康どうして私の人生を、そうでないかもしれないではなく、けずにいられたでしょうか?そうかもしれないほうにこそ賭ルネ・ドーマル『類推の山』1聖性のゆくえ、あるいはフエイクな神? フランケンシュタイン神話は、科学的合理主義に対抗して、科学の諸概念を、錬金 術の神秘や感情と再結合しようとした、十九世紀のロマン主義的反抗に由来する。 デイヴィッド・J・スカル『マッド・サイエンティストの夢-理性のきしみ』 英国のSF作家J・G・バラードに、『ヴィーナスの狩人』(一九六七年)という、ちょっと類を見ないよう伽 な傑作がある。この短編がとてつもなく面白いのは、バラードが科学と魔術の、あるいは合理と非合理の対決㎜ ・ん を、SFや幻想小説や文明批評の手法をもちいながらも、そうした手法ないし意匠に淫することなく、むしろ107(28)登場人物の心理や意識のひだを精妙に描くことで、きわめてユニークな物語に仕あげているからだ。バラードはこの作品でまた、近代合理主義(理性信仰)という、今やさまざまな揺らぎやほころびを見せているものの、依然として私たちの生活を律している「教義」i一八世紀の西欧で確立した啓蒙思想、すなわち「理性の光」ですべてを吟味しようとする知的態度の延長上にあるーが支配する現代にあって、人知をこえた「聖なるもの」はいったいどんな場所に降りてくるのか、という重大な問いを投げかけている。 ここで、『ヴィーナスの狩人」の読解にはいるまえに、近・現代とはいかなる時代なのかを、おおまかに輪郭づけてみよう。1近代化にともなう都市化、高度な産業化、科学技術の飛躍的な発展、市場経済の圧倒的な拡大、そして大衆消費社会の到来によって、教養、芸術、観光、民俗、健康、エコロジー、美容、セックス、「癒し」等々、文化や肉体にかかわる一切が商品化され、情報化され、日常生活の利便性や快適さがめざましく増大するいっぽうで、地縁、血縁などの旧来の共同体が無残に掘り崩され、核家族化が進行し、伝統的な文 リサイクル化・芸能・芸術が衰退する(それらはキッチュー1まがいものとして再利用される)といった状況を生んだ。 ミ イズム また人びとは、他人への関心や共感力を極端に欠いた自分主義ーそれは「自分探し」「自分らしさ」といっ こまた気味の悪い言葉を生んだーに閉じこもり、濃やかな人間関係を避けるようになった。そしてかれらは、そ よ エ ト スれまで拠りどころにしていた生活規範や行動様式を手放し、いわば「自由」を獲得した代償として、寄る辺なさ、精神的空白にとらわれるようになったー。ごく粗雑にまとめれば、近・現代とは、そういった時代である。(↓それはまた、近代化目工業化のはてに世界が「脱魔術化」され(M・ウェーバー)、宗教が世俗化され、いきおい「聖なるもの」や「崇高さ」が見失われた時代1しかし同時に、非合理的な呪術や終末予言を売りものにする新種の宗教が、あるいはカリスマ待望や過剰なナショナリズムが、合理主義の影の部分に寄生する奇妙な時代でもある。へ,) もちろん、近代化の負の側面は、いまざつと触れたいくつかの間題にとどまらない。たとえば大量生産.大量消費は大量廃棄を生み、排気ガスによる地球温暖化、異常気象、熱帯雨林の破壊と砂漠化といった事態を生じさせた。そして今日の科学主義は、生命創造という「神の領域」さえ侵犯しよ
著者
林 栄美子
出版者
慶應義塾大学日吉紀要刊行委員会
雑誌
慶応義塾大学日吉紀要 フランス語フランス文学 (ISSN:09117199)
巻号頁・発行日
no.49, pp.229-256, 2009

Mélanges dédiés à la mémoire du professeur OGATA Akio = 小潟昭夫教授追悼論文集序I. 一人称語りの手記とその3 つの系列について1) 第1の系列=「信じ難い出来事」についての記録・考察・その真相2) 第2の系列=不可能な愛の物語3) 第3の系列=愛と不死の成就へII. モレルと「私」の相似性についてIII. モレルの発明した「映像」をめぐってIV. 「刊行者註」についてV. 「映像」の観客について : それを見るのは誰か?VI. 『モレルの発明』の翻案作品について
著者
阿部 静子
出版者
慶應義塾大学日吉紀要刊行委員会
雑誌
慶応義塾大学日吉紀要 フランス語フランス文学 (ISSN:09117199)
巻号頁・発行日
no.46, pp.171-201, 2008

森英樹教授・西尾修教授・高山晶教授退職記念論文集 = Mélanges offerts à Mori Hideki, à Nishio Osamu, et à Takayama Aki0.0. Tel Quel 誌と時代のパラダイム0.1. ソレルスが見たバタイユ0.2. 季刊文芸誌『Tel Quel』1.0. ジョルジュ・バタイユの遺産1.1. Tel Quel 誌とバタイユ1.2. 『 エロスの涙』1.3. 『 エロスの涙』とソレルス2.0. サルトルによる第1 の否認2.1. 「 新しい神秘家」2.2. バタイユの反論3.0. サルトルとカミユの確執3.1. カミユの苦悩3.2. サルトル『異邦人』論とサルトル・カミユ論争の落差3.3. バタイユによる擁護3.4. 「非-知について」の講演3.5. 論争以後のサルトルとジャンソン4.0. ブルトンによる第2 の否認4.1. バタイユとブルトンの軋轢と和解5.0. Tel Quel 誌の二様のスタンス5.1. アンチ・イデオローグ5.2. ブルトンへのオマージュ6.0. アラン・ロブ=グリエの存在6.1. ロブ=グリエとTel Quel誌の蜜月と決別6.2. ロブ=グリエの日本講演における「総括」と"Rien"について
著者
西尾 治子
出版者
慶應義塾大学日吉紀要刊行委員会
雑誌
慶応義塾大学日吉紀要 フランス語フランス文学 (ISSN:09117199)
巻号頁・発行日
no.42, pp.137-144, 2006

「日本ジョルジュ・サンド学会」(2004年に「ジョルジュ・サンド研究会」から現学会名に改称)のおおまかな歴史を辿ってみると、1986年、Christiane Sand女史を招いてサンドの展覧会および講演会を開催している(東京・西武美術館)。以降、二十一世紀に入ってからは、仏文学会開催時に、年2回の研究会を開くという地道なサンド研究を続けてきた。サンド生誕二百年記念の国際学会が世界各地で開催され始めた2002年頃から、学会員が積極的に海外の国際サンド学会に参加しあるいは発表をおこない、国際交流に貢献した。2002年のイタリア ・ ベローナ国際学会、アメリカ ・ニューオーリンズ国際学会、2004年夏のフランス・スリズィ国際コロック、ブルボン宮で開催された「政治」を主題とするサンド国際シンポジウム、作家の故郷ノアンで開かれた仏政府の文化・コミュニケーション省主催によるサンド生誕二百年記念国家祝賀典、ラ・シャートルのコロックおよび記念行事などが例として挙げられる。本稿では、国際的にサンド研究の気運が高まる中で、東洋で初めて国際サンド・シンポジウムを開催した「日本ジョルジュ・サンド学会」の2003年から2005年の足跡を時系列的に追ってみたい。
著者
藤崎 康
出版者
慶應義塾大学日吉紀要刊行委員会
雑誌
慶応義塾大学日吉紀要 フランス語フランス文学 (ISSN:09117199)
巻号頁・発行日
no.37, pp.90-54, 2003

はじめに1 表現主義映画-カリガリからノスフェラトゥへIIIIIIIVVVI
著者
梅澤 礼
出版者
慶應義塾大学日吉紀要刊行委員会
雑誌
慶応義塾大学日吉紀要. フランス語フランス文学 (ISSN:09117199)
巻号頁・発行日
no.60, pp.15-27, 2015

Mélanges offerts au professeur Suzuki Junji et au professeur Hayashi Emiko = 鈴木順二教授・林栄美子教授退職記念論文集はじめに1. 怪物学monstruologieから奇形学tératologieへ2. 奇形学と犯罪学3. 奇形学, 犯罪学, そして文学おわりに
著者
笠井 裕之
出版者
慶應義塾大学日吉紀要刊行委員会
雑誌
慶応義塾大学日吉紀要. フランス語フランス文学 (ISSN:09117199)
巻号頁・発行日
no.63, pp.75-154, 2016

構想の出発点について執筆時期について『地獄の機械』の各種草稿について
著者
小倉 孝誠
出版者
慶應義塾大学日吉紀要刊行委員会
雑誌
慶応義塾大学日吉紀要. フランス語フランス文学 (ISSN:09117199)
巻号頁・発行日
no.69, pp.121-144, 2019

文学と歴史の誘惑文学から歴史学への越境 : リテル、エネル現代文学と第二次世界大戦への関心歴史学からの反応文学と歴史学の関係 : その過去と現状歴史学の底流アラン・コルバンの位置イヴァン・ジャブロンカによる刷新
著者
林 栄美子
出版者
慶應義塾大学日吉紀要刊行委員会
雑誌
慶応義塾大学日吉紀要 フランス語フランス文学 (ISSN:09117199)
巻号頁・発行日
no.46, pp.203-228, 2008

森英樹教授・西尾修教授・高山晶教授退職記念論文集 = Mélanges offerts à Mori Hideki, à Nishio Osamu, et à Takayama Aki序章第1章 『灰色の魂』をめぐって1. クレリス/死者/肖像画2. ベル/死体/人形3. リジアの死 あるいは喪の拒絶4. 三枚の写真によるコンポジション クレリス=ベル=リジア5. クレマンス あるいは非イマージュ的記憶6. 死者たちのロンド第2章 『リンさんの小さな子』をめぐって1. 写真2. 人形
著者
新島 進
出版者
慶應義塾大学日吉紀要刊行委員会
雑誌
慶応義塾大学日吉紀要. フランス語フランス文学 (ISSN:09117199)
巻号頁・発行日
no.62, pp.1-32, 2016

2, 猫オルガンと独身者機械(承前)3, chat-chant-charivari et règle : 猫, 歌, どんちゃんさわぎ, 定規/規則/生理/スライダー4, コーダ : そして「ザカリウス師」へ
著者
Barbara Charles 亀谷 乃里
出版者
慶應義塾大学日吉紀要刊行委員会
雑誌
慶応義塾大学日吉紀要 フランス語フランス文学 (ISSN:09117199)
巻号頁・発行日
no.36, pp.134-110, 2003

ある名演奏家の生涯の素描(1)シャルル・亀谷 乃里バ ル訳バラ 作・解説解説 シャルル・バルバラは一八一七年オルレアンで楽器製造業を営むドイツ生れの父とオルレアン生れの母との 間に生れた。↑)兄は後にピアニスト、オルガニストで、かつ作曲家となり、三弟はピアノ調律師となる。(三シ ャルルはこうしたいわば音楽的風土に育った。若くしてパリに出た彼はボードレールと同じルイ・ル・グラン コンセルヴァトワ ル 中学校で学業を終え、一時はパリ音楽院で勉強したこともあった。三自然科学に強い関心をもっていた エコ ル ポリテクニック 彼は理工科学校に学ぼうと考えていたが、(5)文学を聖域と考え、転じてその道に身を投じた。(、)アンリこ、丶 ホ エ ム ユルジェールの「放浪芸術家の生活情景」にカロリュス・バルブミュッシュ〔9『。一⊆。・ロコ碧げ。詈魯ρσ㊤ひ。(ひげ) とσ碧9お(粗野な)とをかけ、∋⊆魯o(若い娘に声もかけられない恥ずかしがり屋の青年)とで合成した名前〕という滑稽 な名前で登場するのはシャルル・バルバラ彼自身である。(ヱしかし当時バルバラはひげもなければ粗野でも四 なかった。彼は孤独で極端に非社交的で、仲間内でも黙って耳を傾け、ポケットからノートを取り出してはメ133(2)モを取っていた、とシャンフルリは回想している。〔、) ロマン主義から自然主義への移行期の芸術家達、シャンフルリ、ミュルジェール、哲学者のジャン・ヴァロン、画家のクールベなど自称レアリスト達の集まったグループ〈ラ・ボエーム〉にバルバラが受け入れられたのは一八四一年の暮である。(,)彼らはそれまでのロマン主義に反旗を翻し新しい道を模索していた。そうし コルセ ル コルセ ルロ サタンてその活動の中心である小新聞、『海賊』紙『海賊11悪魔』紙に寄稿し、互いに助け合った。バルバラが、『悪 ラ ル の フ ル ロラ ル カリアテデノドの華』の詩人ボードレールや〈芸術のための芸術〉の信奉者で『女像柱』の詩人バンヴィルと知り合うのもこうした中であった。〔m) 音楽は、〈ラ・ボエーム〉での重要な活動領域であった。優れたヴァイオリン奏者であったバルバラは第一ヴァイオリン、シャンフルリはセロ、画家のアレクサンドル・シャンヌがヴィオラ、後にリリック座のヴァイ グリセノトオリン奏者となるオリヴィエ・メトラが第ニヴァイオリンを受け持ち、この四重奏団は学生や女 工 を前にコンサートを催したこともあった。(H)バルバラの音楽活動はシャンフルリの『若き日の回想と肖像』(E)や「サン・ルイ島の四重奏団」、(B)「シュニゼルの三重奏」(回)等に詳しく述べられている。絵画的素養はあったものの、音楽の分野ではこれといって教育を受けていなかったボードレールが初めて音楽に親しんだのも、親友であったバルバラとその周囲に集まった音楽をする人達の中であった。(垣バルバラの作品はしばしば、多様な音楽的要素を含み、音楽的情感と感動に浸透されている。(博)ちなみにワーグナーのパリ初演(一八六〇)に際して書かれたシャンフルリのワーグナー論はバルバラに献じられている。(7) バルバラの文学の領域でのデビューは一八四四年のπ轜粒邸一だと考えてよい。(侶)この年には一八四六年 コルセ ルに『海賊」紙に発表することになる贋金造りの物語で探偵小説の先駆をなす「ロマンゾフ」がすでに書き上げられる。〔円)その後「カーテン」(一八四六)等幾編かの朗、癌.醒,でかつ心理的な短篇を『却術須』誌に発表^20)132(3)ある名演奏家の生涯の素描(1)した後、一八四八年の革命の頃には故郷のオルレアンのいくつかの新聞編集に携わりなが舷む自らの作品やパ リの友人達の作品、それにエドガー・ボーの作品の翻訳{2)を掲載する。
著者
林田 愛
出版者
慶應義塾大学日吉紀要刊行委員会
雑誌
慶応義塾大学日吉紀要. フランス語フランス文学 (ISSN:09117199)
巻号頁・発行日
no.69, pp.49-71, 2019

Ⅰ : 「科学的オカルティズム」時代のストリンドベリⅡ : 「生」物体の心理Ⅲ : 「生物」の擬態と輪廻Ⅳ : オカルト的概念から宗教性へ
著者
林田 愛
出版者
慶應義塾大学日吉紀要刊行委員会
雑誌
慶応義塾大学日吉紀要 フランス語フランス文学 (ISSN:09117199)
巻号頁・発行日
no.49, pp.131-153, 2009

序I: 精神病治療と外科手術II: パターナリズムの文学的表象 : 戦略としての「情報の操作」III: 疾患ではなく患者をIV. 慈父と医師むすびMélanges dédiés à la mémoire du professeur OGATA Akio = 小潟昭夫教授追悼論文集
著者
藤崎 康
出版者
慶應義塾大学日吉紀要刊行委員会
雑誌
慶応義塾大学日吉紀要 フランス語フランス文学 (ISSN:09117199)
巻号頁・発行日
no.49, pp.360-320, 2009

はじめに1 理由なき災厄2 アンチ・ミステリー、アンチ・サプライズとしてのサスペンス3 ヒッチコックのミステリー映画4 知りすぎてはいない主人公5 『知りすぎていた男』をめぐって6 多重化するサスペンスの渦7 視線の迷宮 : 『めまい』について8 ヒッチコック的サスペンスの臨界点としての『鳥』9 断片化(=非連続化)されるモチーフ10 食堂"タイズ"の場面をどう見るか?11 ゲームとしての過剰解釈=深読み12 終末論映画としての『鳥』?13 恋愛映画としての『鳥』?14 家族映画としての『鳥』?15 結語にかえてMélanges dédiés à la mémoire du professeur OGATA Akio = 小潟昭夫教授追悼論文集
著者
今村 純子
出版者
慶應義塾大学日吉紀要刊行委員会
雑誌
慶応義塾大学日吉紀要 フランス語フランス文学 (ISSN:09117199)
巻号頁・発行日
no.49, pp.211-227, 2009

はじめに1 媒介としての「愛」 : マルクスからプラトンへ2 善と必然の矛盾をどう生きるのか3 数学 : 知と愛の合一結びにかえてMélanges dédiés à la mémoire du professeur OGATA Akio = 小潟昭夫教授追悼論文集
著者
阿部 静子 ソレルス フィリップ
出版者
慶應義塾大学日吉紀要刊行委員会
雑誌
慶応義塾大学日吉紀要. フランス語フランス文学 (ISSN:09117199)
巻号頁・発行日
no.66, pp.107-127, 2018

1. シュルレアリスムとロートレアモン2. ジョルジュ・バタイユと「特異性(singularité)」3. ソレルスと中国