著者
任 利
出版者
筑波大学大学院博士課程文芸・言語研究科日本語学研究室
雑誌
筑波日本語研究 (ISSN:13424793)
巻号頁・発行日
no.8, pp.72-89, 2003

本稿では明治初年から現在までに発表された小説を用い、終助詞「かしらん>かしら」という語形変化の流れの中での男女の使用差を調査した。昭和前期頃に語形が「かしら」に定着するとともに、女性的な表現として定着していることが分かった。また、明治後期の男女の使用差を考察したところ、明治後期の作品では、女性の発話に丁寧体と共存して終助詞「かしら」を使用する用例が多く見られた。これは、直接的な問いかけや依頼を避け、柔らかな丁寧さを示しており、明治以後形成された発話の仕方における男女差の反映と見られる。小説の世界では、明治後期から「かしら」を使用する女性のステレオタイプが形成され、大正期・昭和期をへて、現在に至り「かしら」が女性的表現として定着してきたと考えられる。

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この論文は面白そう。 https://t.co/HAuEMrJZRZ あくまで近代小説を調査対象にした研究ですが、時代性を考慮すると実生活での人々のステレオタイプ形成にも大いに関係していると私は考えます。→
@C4Dbeginner FF外から失礼します。 男女の使用差についてはちょうどこんな研究があります。 自分も昔何故藤子・F・不二雄先生の漫画では男性が「かしら」を使うのか気になったことがあって個人的に調べたことがありまして。 https://t.co/UdVu5KcATU
『~かしら』に関するリンク1 https://t.co/el2ofZBLZw
F先生の幼少時代ではまだ男女ともに使っていたんじゃないかしら。 "昭和前期頃に語形が「かしら」に定着するとともに、女性的な表現として定着していることが分かった。" <終助詞「かしら」における男女差の形成--近代小説における用例調査を中心に https://t.co/o1Rkkh28ex https://t.co/eOYxr6OFTa
ちょっと調べたら論文が出てきた。 https://t.co/0n0v5WMhuw 明治後期に女性の発話内での用例が増え始め、昭和前期には女性的表現として定着したとのこと。直接的な言及を避けるのが女性的だったのでは、とも。 https://t.co/Hk1hrWdD9K
関係ありそうな論文→「終助詞「かしら」における男女差の形成--近代小説における用例調査を中心に」http://t.co/Yj0sd4KM
CiNii 論文 -  終助詞「かしら」における男女差の形成--近代小説における用例調査を中心に - http://t.co/L7lvJDJX

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