著者
兄井 彰
出版者
日本生活体験学習学会
雑誌
生活体験学習研究 (ISSN:13461796)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.25-34, 2004-01-30

本研究では、参加した不登校傾向を示す児童・生徒の各キャンプに対する事後の印象と自己有能感(コンピタンス)及び抑うつ傾向の調査から、さまざまな体験ができ、シリーズで年間通して行われるリフレッシュキャンプが持つ教育的効果を明らかにしようとした。その結果、成功体験が多いキャンプで楽しかったと答えた子どもが多かった。このことから、できるだけ多くの成功体験ができるキャンププログラムの工夫が示唆された。また、自己有能感と抑うつ傾向は、各キャンプ前後で、子どもにとって望ましい変化が認められた。このことから、キャンプ全体を通して考えると、本キャンプのようなさまざまな体験ができ、年間複数回行われるシリーズキャンプは、不登校児童・生徒に対して一定の教育的効果があると考えられる。しかし、期待した以上のキャンプの効果はみられなかった。これは、本キャンプの活動がどちらかといえば楽しさ中心の内容が多く、克服や達成を伴う活動をあまり多く体験できなかったためだと考えられる。あるいは、本キャンプは、複数年度にまたがって参加している児童・生徒が多く、初めて体験する活動が少なかったためだと推察される。

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