著者
兄井 彰
出版者
一般社団法人 日本体育学会
雑誌
日本体育学会大会予稿集 第70回(2019) (ISSN:24241946)
巻号頁・発行日
pp.126_1, 2019 (Released:2019-12-20)

本研究は、野球において重いバットでの素振りが、後続する標準の重さのバットでの打撃パフォーマンスに及ぼす影響を検討した。大学野球選手20名を対象に、基準運動として、900gの標準のバットで3球を実打させ、その後すぐに、先行運動として、重さの異なるいずれかのバット(900g、1050g、1200g)で5回素振りをさせ、さらに、後続運動として、900gの標準のバットで3球を実打させた。投球は、ストライクゾーンの中央付近にボールが集まるようにバッティングマシーンを調整し、球種はストレートで球速は、125km/hと105km/hとした。基準運動と後続運動での打撃について、打球の質(ヒット性のあたり)とインパクトの質(バットの軌道との一致)、スイングの質(フォロースルーの大きさ)という観点で、野球経験が10年以上の者3名が主観的に得点化した。その結果、両球速において、標準よりも重いバットでの素振り後では、主観的にバットを軽く、ボールを打ちやすく感じており、スイングの質が向上していた。しかし、早い球速では、打球の質、インパクトの質とも低下していた。また、遅い球速においては、打球の質及びインパクトの質に差は見られなかった。
著者
兄井 彰
出版者
一般社団法人 日本体育学会
雑誌
日本体育学会大会予稿集 第68回(2017) (ISSN:24241946)
巻号頁・発行日
pp.95_1, 2017 (Released:2018-02-15)

野球では、重いバットで素振りをした後、通常使っているバットを振るとバットが軽く感じる筋運動感覚残効が生じることが知られている。そこで、重いバットを振った後の筋運動感覚残効の大きさの特定とバットのスイングスピードに及ぼす影響を明らかにするために実験を行った。実験1では、基準試行として900gのバットで素振りをした後、介入試行で900g、1050g、1200gのバットで素振りを行い、さらに、後続試行として840gから1000gまで、20g刻み、14種類のいずれかのバットで素振りを行わせた。その際、基準試行と後続試行でのバットの重さを比較させ、重いか軽いかの判断を参加者に求めた。その判断から主観的等価点を求めた結果、1200gのバットで素振りを行った後では、40g程バットを軽く感じる筋運動感覚残効が生じていた。実験2では、1200gのバットで素振りをした後、900gのバットで素振りを行わせた際のスイングスピードを測定した。その結果、バットをフルスイングする条件では、スイングスピードに差は見られなかったが、ボールを打つイメージでスイングさせる条件では、有意にスイングスピードが速かった。
著者
兄井 彰 須﨑 康臣 横山 正幸
出版者
日本生活体験学習学会事務局
雑誌
生活体験学習研究 : 日本生活体験学習学会誌 (ISSN:13461796)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.43-50, 2013-01

平成20年から平成22年の3カ年にかけて、福岡県内の小学4年生、6年生、中学2年生、3年生、計44,806人を対象に実施した自尊感情(Rosenberg, M.(1965)の作成した質問紙の和訳)と生活実態(①就寝時間、②遊ぶ時間、③メディア視聴時間、④学習時間、⑤読書量、⑥友人の人数、⑦手伝いの頻度、⑧被叱責体験の頻度、⑨被称賛体験の頻度、⑩授業中の挙手・発言の頻度)について、調査を行ったデータを基に、要因間の因果関係を推定できる共分散構造分析を用いて、子どもの自尊感情と生活のあり方の関係について検討した。その結果、保護者から褒められることが子どもの自尊感情に影響を与えており、保護者が褒めることにより自尊感情は高まることが確かめられた。さらに、子どもの自尊感情は、就寝時間やお手伝い、挙手・発言行動に影響を与え、自尊感情が高いと早く寝るようになり、お手伝いを頻繁に行い、授業中に手を挙げたり、発言したりする行動が多くなることが確かめられた。
著者
兄井 彰
出版者
日本生活体験学習学会
雑誌
生活体験学習研究 (ISSN:13461796)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.25-34, 2004-01-30

本研究では、参加した不登校傾向を示す児童・生徒の各キャンプに対する事後の印象と自己有能感(コンピタンス)及び抑うつ傾向の調査から、さまざまな体験ができ、シリーズで年間通して行われるリフレッシュキャンプが持つ教育的効果を明らかにしようとした。その結果、成功体験が多いキャンプで楽しかったと答えた子どもが多かった。このことから、できるだけ多くの成功体験ができるキャンププログラムの工夫が示唆された。また、自己有能感と抑うつ傾向は、各キャンプ前後で、子どもにとって望ましい変化が認められた。このことから、キャンプ全体を通して考えると、本キャンプのようなさまざまな体験ができ、年間複数回行われるシリーズキャンプは、不登校児童・生徒に対して一定の教育的効果があると考えられる。しかし、期待した以上のキャンプの効果はみられなかった。これは、本キャンプの活動がどちらかといえば楽しさ中心の内容が多く、克服や達成を伴う活動をあまり多く体験できなかったためだと考えられる。あるいは、本キャンプは、複数年度にまたがって参加している児童・生徒が多く、初めて体験する活動が少なかったためだと推察される。