著者
日置 真世
出版者
北海道大学大学院教育学研究院附属子ども発達臨床研究センター = Research and Clinical Center for Child Development, Faculty of Education, Hokkaido University
雑誌
子ども発達臨床研究 (ISSN:18821707)
巻号頁・発行日
no.3, pp.45-53, 2009

今日の日本社会は少子高齢化、核家族化、過疎化、経済の不安定、地域における人間関係の希薄化など暮らしを取り巻く環境の著しい変化の中でさまざまな生活課題が生じている。一方では、それら生活課題を支えるべく公共システムである年金や医療保険、各福祉制度をはじめとした社会保障制度は転換期を迎え不安定であり、雇用を取り巻く状況も厳しさを増し、多くの地方自治体が財政困難を抱えるなど、人々の暮らしを支える社会システムが大きく揺らいでいる。そうしたなか地域においては、大勢の困難や生きづらさを抱える子どもや若者たちとその家族は、複雑・深刻な課題にぶつかり、既存の制度で支え切れない実態があり、現実では当事者や限られた実践者の我慢と努力に依存するような厳しい状況に陥っている。本論は具体的な支援実践の蓄積から、そうした生活課題を抱えた子どもや若者とその家族を身近な生活の場である地域で支えることの意義と支援においては何が重要でどんな思想や方法論が必要なのかを探り、今後、地域における支援体制の充実を願って、ささやかな提言を試みるものである。

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