- 著者
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佐々木 全
加藤 義男
SASAKI Zen
KATOU Yoshio
- 出版者
- 岩手大学教育学部附属教育実践総合センター
- 雑誌
- 岩手大学教育学部附属教育実践総合センター研究紀要 (ISSN:13472216)
- 巻号頁・発行日
- no.8, pp.245-262, 2009
高機能広汎性発達障害を含む,いわゆる発達障害児者に対する教育や福祉の制度による支援は,充実・発展に向かいつつも,開発の途上にあると思われる.そこにインフォーマルな支援グループが力を発揮する余地がある.その一例として,休日や放課後の活動の提供と支援があるだろう(佐々木,加藤2007).そして,これに当たる実践として,「適所支援教室」があり,岩手県内各地で成果を挙げている(はままき軽度発達障害児の教育と生活を考える会,2005 ; 2006 ; 2007 ; 2008).筆者らが1998年以来取組んでいる「エブリ教室」もその一つである.エブリ教室は,高機能広汎性発達障害のある小学生を対象とし,月一回第4土曜日に開催の実践である.ここでいう高機能広汎性発達障害とは,知的障害のない自閉症(いわゆる「高機能自閉症」),アスベルガー障害,特定不能の広汎性発達障害を包括する概念である. 筆者らは,エブリ教室において,参加児童にとっての豊かな休日活動をねがう.ここでいう豊かさとは,参加児童にとっての自己実現であり,自立的・主体的な活動の実現である.佐々木,加藤(2008a ; 2008b)は,その実現に向けた実践的課題として以下を指摘している.すなわち,(1) 中心活動(単元化された活動内容)に沿った「一人一人のための支援計画(通称, IEP)」の作成と活用のあり方に関する検討,(2) ねがいの実現と支援方法の機能の関係性の分析,である.