- 著者
-
藤原 綾子
Fujiwara Ayako
- 出版者
- 琉球大学教育学部
- 雑誌
- 琉球大学教育学部紀要 第二部 (ISSN:03865746)
- 巻号頁・発行日
- no.27, pp.p381-390, 1984
大学生の衣服の一つであるジーパンに関する意識や実態が10年前と現在でどう変わったのかを明らかにする目的で昭和47年の琉球大学教育学部学生を対象に行った調査と昭和57年本学教育学部学生を対象に行った調査を比較検討して次の結果を得た。1)10年前と現在の学生を比較すると男子はほぼ同程度の着用があるが,女子は減少してた。この原因は女子の他の服(ワンピースやスカート)への移向が大きいためである。2)ジーパン愛用の理由として,10年前の学生が男女共に,丈夫で季節に関係なく着られるという経済的理由をあげたのに対し,現在の学生は,汚れても気にならず,手入れが容易であるという実用的な理由をあげていた。3)ジーパンを着用できる時,場所,場合として,10年前の学生は日常的な時や場所だけを考えていて冠婚葬祭の場は絶対にいけないと考えているのに対し,現在の学生は入学式,卒業式まで着用してよい,そして時には結婚式などの着用も考えている。現在の学生にとっては入学式や卒業式はもはや日常的な時,場所になっているようである。4)ジーパンという衣服を10年前の男子学生は年中着用できる衣服,作業服ととらえているのに対し,現在の男子はどこへでも着ていける衣服ととらえ,衣服観は10年前と現在で大きく変化している。女子学生は10年前,現在とも大きな変化はなく,性差を意識せずに着られる衣服,季節に関係なく着られる衣服,遊び着,作業着としてとらえている。5)全体としてジーパンは10年前から現在まで,実用的な衣服であって,ファッショナブルな個性を表現する衣服ではないようである。おわりに本調査に御協力下さいました本学教育学部花城梨枝子先生,卒業生の島袋睦枝さんに深く感謝申し上げます。