著者
藤原 綾子 Fujiwara Ayako
出版者
琉球大学教育学部
雑誌
琉球大学教育学部紀要 第二部 (ISSN:03865746)
巻号頁・発行日
no.27, pp.p369-380, 1984

ジーパン着用に環境や性別がどのように影響を与えているのかを明らかにするため,新潟の学生,沖縄の学生を対象に意識と実態について調査を行った結果,以下のようなことが明らかになった。1)ジーパンの所有率は両大学生とも高く,全体の99%の人が所有していた。女子にくらべ男子の方が所有率が高く,10本以上の所有者もいた。新潟と沖縄では地域差は明らかでなく個人差が大きい。耐用年数は3~5年で,若干女子の方が長く着用している。2)ジーパンの着用開始時期については新潟大,琉大ともに小学生と中学生の頃と答えた人が多い。3)着用頻度では地域差の影響はなく,男女間で異なり,男子が頻繁に着用している。4)主に着用する季節は,新潟の学生が合着,冬着であるのに対し,沖縄の学生は一年を通しての年中平均着であった。5)ジーパン生地としての14オンス綿デニムの保温力を他のスラックス生地と共に試験した結果,中程度の厚さをもつ紳士服地(ウーステッド)と同等の保温力を有し,コール天と大差はなく,冬の衣服として役立つことがわかった。6)洗濯の目安では,男女差が大きく、男子はかなり汚れてから洗濯する割合が高かった。7)着用理由としては,男女ともに汚れても気にならない,活動しやすしい,洗濯が簡単をあげていた。特に女子は活動しやすしいを強く意識している。両大学生ともジーパンを実用的な衣服として高く評価していることが明らかになった。8)ジーパンの着用が許される時,場所,場合として,日常的な行動範囲は八割以上の学生が許されるとみている。さらに非日常的な場である入学式や卒業式へもかまわないとみている学生が二割程度いた。9)ジーパン着用時の本人の気まずい経験では,男子が入学式,結婚式というような非日常的な行動範囲である時・場所をあげたのに対し,女子は日常的な時や場所をあげていた。10)ジーパン着用者から受けた不快な経験では,琉大の方が新潟大より高い比率がみられ,いずれでも女子の方が男子よりも高かったが,中でも琉大女子は全体の35%が経験者であった。その内容は汗くさい,汚れている等衛生的なことをあげていた。最後に,本調査に御協力下さいました,新潟大学の阿部好策先生をはじめ学生諸氏,および本学教育学部の学生諸氏,家政学科卒業生の島袋睦枝さんに深く感謝申し上げます。
著者
藤原 綾子 Fujiwara Ayako
出版者
琉球大学教育学部
雑誌
琉球大学教育学部紀要 第二部 (ISSN:03865746)
巻号頁・発行日
no.27, pp.p381-390, 1984

大学生の衣服の一つであるジーパンに関する意識や実態が10年前と現在でどう変わったのかを明らかにする目的で昭和47年の琉球大学教育学部学生を対象に行った調査と昭和57年本学教育学部学生を対象に行った調査を比較検討して次の結果を得た。1)10年前と現在の学生を比較すると男子はほぼ同程度の着用があるが,女子は減少してた。この原因は女子の他の服(ワンピースやスカート)への移向が大きいためである。2)ジーパン愛用の理由として,10年前の学生が男女共に,丈夫で季節に関係なく着られるという経済的理由をあげたのに対し,現在の学生は,汚れても気にならず,手入れが容易であるという実用的な理由をあげていた。3)ジーパンを着用できる時,場所,場合として,10年前の学生は日常的な時や場所だけを考えていて冠婚葬祭の場は絶対にいけないと考えているのに対し,現在の学生は入学式,卒業式まで着用してよい,そして時には結婚式などの着用も考えている。現在の学生にとっては入学式や卒業式はもはや日常的な時,場所になっているようである。4)ジーパンという衣服を10年前の男子学生は年中着用できる衣服,作業服ととらえているのに対し,現在の男子はどこへでも着ていける衣服ととらえ,衣服観は10年前と現在で大きく変化している。女子学生は10年前,現在とも大きな変化はなく,性差を意識せずに着られる衣服,季節に関係なく着られる衣服,遊び着,作業着としてとらえている。5)全体としてジーパンは10年前から現在まで,実用的な衣服であって,ファッショナブルな個性を表現する衣服ではないようである。おわりに本調査に御協力下さいました本学教育学部花城梨枝子先生,卒業生の島袋睦枝さんに深く感謝申し上げます。