- 著者
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大場 茂
大橋 淳史
- 出版者
- 慶應義塾大学日吉紀要刊行委員会
- 雑誌
- 慶應義塾大学日吉紀要 自然科学 (ISSN:09117237)
- 巻号頁・発行日
- no.46, pp.13-41, 2009
- 被引用文献数
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研究ノート1. はじめに2. 旋光性2-1. 右旋性と左旋性2-2. 石英の比旋光度3. 石英の結晶構造と外形3-1. シリカの結晶相3-2. α-石英とβ-石英の構造3-3. 水晶の半面像3-4. 高温形低温水晶4. 屈折率の異方性と光の干渉4-1. エアリースパイラル4-2. 結晶中での光の伝播4-3. 光軸に垂直な水晶板による旋光4-4. 水晶板のコノスコープ像4-5. 水晶球の干渉像5. 考察5-1. 石英か水晶か5-2. 右水晶と左水晶の定義5-3. 円偏光板の役割5-4. オリジナルのエアリースパイラル6. 学生実験への対応慶應義塾大学日吉キャンパスにおける文系学生を対象とした化学実験のテーマの1つとして,キラリティ(左と右の区別)に関する実験を平成17年度から開始した。これは主に糖の旋光度を測定するテーマであるが,原子や分子レベルのキラリティが外に表れる例として,水晶の半面像の観察も実験の中に組み込んだ。水晶とは石英のきれいな結晶のことであるが,その内部での原子配列のキラリティは非対称な結晶面をもとに区別できる。また水晶球については,直線偏光板と円偏光板の間にはさみ,エアリースパイラルを観察してその渦巻の方向から,右水晶か左水晶かを判別できる。本稿では石英の結晶構造をもとにこれらの原理を解説し,また右と左の定義にまつわる話題を紹介する。現時点でも右水晶の定義にまだ混乱がみられるが,「右旋性を示す水晶のこと」に統一すべきである。