著者
大場 茂
出版者
日本結晶学会
雑誌
日本結晶学会誌 (ISSN:03694585)
巻号頁・発行日
vol.59, no.6, pp.284-292, 2017-12-31 (Released:2017-12-31)
参考文献数
14

SHELXT is a revolutionary program which solves the structure assuming space group P1, and determines the space group type based on the assigned Laue group and calculated P1 phase angles. The background and procedures of the computation will be summarized, and important points to check the results will be noted.
著者
大場 茂 大橋 淳史
出版者
慶應義塾大学日吉紀要刊行委員会
雑誌
慶應義塾大学日吉紀要 自然科学 (ISSN:09117237)
巻号頁・発行日
no.46, pp.13-41, 2009
被引用文献数
1

研究ノート1. はじめに2. 旋光性2-1. 右旋性と左旋性2-2. 石英の比旋光度3. 石英の結晶構造と外形3-1. シリカの結晶相3-2. α-石英とβ-石英の構造3-3. 水晶の半面像3-4. 高温形低温水晶4. 屈折率の異方性と光の干渉4-1. エアリースパイラル4-2. 結晶中での光の伝播4-3. 光軸に垂直な水晶板による旋光4-4. 水晶板のコノスコープ像4-5. 水晶球の干渉像5. 考察5-1. 石英か水晶か5-2. 右水晶と左水晶の定義5-3. 円偏光板の役割5-4. オリジナルのエアリースパイラル6. 学生実験への対応慶應義塾大学日吉キャンパスにおける文系学生を対象とした化学実験のテーマの1つとして,キラリティ(左と右の区別)に関する実験を平成17年度から開始した。これは主に糖の旋光度を測定するテーマであるが,原子や分子レベルのキラリティが外に表れる例として,水晶の半面像の観察も実験の中に組み込んだ。水晶とは石英のきれいな結晶のことであるが,その内部での原子配列のキラリティは非対称な結晶面をもとに区別できる。また水晶球については,直線偏光板と円偏光板の間にはさみ,エアリースパイラルを観察してその渦巻の方向から,右水晶か左水晶かを判別できる。本稿では石英の結晶構造をもとにこれらの原理を解説し,また右と左の定義にまつわる話題を紹介する。現時点でも右水晶の定義にまだ混乱がみられるが,「右旋性を示す水晶のこと」に統一すべきである。
著者
広野 巌 大場 茂 斉藤 喜彦 丹羽 治樹 小鹿 一 若松 一雅 山田 静之 松下 和弘
出版者
天然有機化合物討論会
雑誌
天然有機化合物討論会講演要旨集
巻号頁・発行日
no.26, pp.9-15, 1983-09-15

We have examined the constituents of bracken fern, Pteridium aquilinum var. latiusculum and performed fractionation of the boiling water extracts by means of the assay based on carcinogenicity to rats. From the fraction exhibiting carcinogenicity, we have isolated an unstable norsesquiterpene glucoside of illudane type named ptaquiloside (1). The planar structure of (1) has been established on the basis of spectral and chemical means. The carcinogenicity of (1) to rats is currently under investigation.
著者
向井 知大 大場 茂
出版者
慶應義塾大学日吉紀要刊行委員会
雑誌
慶應義塾大学日吉紀要. 自然科学 (ISSN:09117237)
巻号頁・発行日
no.55, pp.1-19, 2014

研究ノート野外における放射線強度を, 車での走行あるいは歩きながら調査するシステムを試行した。これは簡易型ガイガーカウンター(インスペクター)をPCにつないで放射線強度を3秒ごとに記録し, またGPSアンテナで位置情報も同時に取り込むものである。定点観測ならびに走行・歩行実験を行い, 測定条件やデータの解析方法について検討した。その結果, 統計変動を抑えるためには, 30秒間の積算計測数を用いてγ線にもとづく空間線量率を求めるのが妥当であること, また検出器の高さを地上1mから0.35mに下げても, 空間線量率は8%程度しか増えないことがわかった。
著者
大場 茂
出版者
日本結晶学会
雑誌
日本結晶学会誌 (ISSN:03694585)
巻号頁・発行日
vol.60, no.5-6, pp.270-271, 2018-12-15 (Released:2018-12-19)
参考文献数
12
著者
向井 知大 小畠 りか 大場 茂
出版者
慶應義塾大学日吉紀要刊行委員会
雑誌
慶應義塾大学日吉紀要 自然科学 (ISSN:09117237)
巻号頁・発行日
no.50, pp.61-75, 2011

慶應義塾大学日吉キャンパスにおける文系学生を対象とした化学実験のテーマの1つに, アセトアニリドの合成に関する実験がある。無水酢酸と氷酢酸の混合液を用いてアニリンをアセチル化する反応である。しかし, 反応条件(加熱還流の強さや時間など)について不明確な点があった。そこで実験条件を変えて合成を行ってみた。その結果, 収量は加熱の強さや加熱時間にほとんど依存しないこと, 並びに使用する無水酢酸の鮮度が収量にかなり反映することが明らかとなった。なお, アニリンが空気中で酸化されて赤くなるが, これはフェナジン骨格をもつオリゴマーが生成するためである。これと関連して, ポリアニリンの生成機構について文献を調べて要点をまとめた。50号記念号研究ノート
著者
大場 茂 向井 知大
出版者
慶應義塾大学日吉紀要刊行委員会
雑誌
慶應義塾大学日吉紀要. 自然科学 (ISSN:09117237)
巻号頁・発行日
no.55, pp.21-37, 2014

研究ノート先が尖った六角柱状の透明な水晶で, 底面がc軸(伸長方向)に垂直にカットしてあれば, 右水晶(右旋性の水晶)か左水晶かを光学的に見分けることができる。ガラス製三角プリズムを水で濡らして水晶の先端の斜面に密着させ, 水晶の底面からc軸方向へ直線偏光をあて, 三角プリズムおよび円偏光板を通して見ると, 虹色の渦巻き(エアリースパイラル)が見える。その渦巻きが右巻きならば右水晶, 左巻きならば左水晶である。この干渉像は水晶の複屈折と旋光性に起因する。水晶中では複屈折により, 光の進行方向がc軸から傾くと, 正常光に対して異常光の位相が遅れる。光の通過距離が長くなればなるほど, この位相差δが大きくなる。しかし, c軸に対して光線の角度が少し小さくなるだけで, 位相差δが減少し, 通過距離の違いによる影響が解消される。このため, 干渉縞がほぼ同心円状に見える。ただし, エアリースパイラルを明瞭に観察するには, 割れや濁りがなく, 光学的に質の高い水晶に限られる。
著者
大場 茂 向井 知大
出版者
慶應義塾大学日吉紀要刊行委員会
雑誌
慶應義塾大学日吉紀要. 自然科学 (ISSN:09117237)
巻号頁・発行日
no.56, pp.21-34, 2014

研究ノート慶應義塾大学日吉キャンパスにおける文系学生を対象とした化学実験のテーマの1 つとして, ナイロン66 の合成と染色に関する実験を2000 年以前から行っている。合成後のナイロンについて, 機器分析の1 つとして, ATR 法(全反射減衰分光法)による赤外スペクトル測定を2008 年から開始した。それは, 吸収される赤外線のエネルギーから, 化合物に含まれている官能基を簡単に同定できるというメリットがある。本稿では, その背景ならびに実験準備上の注意を述べる。また, すべての吸収帯の帰属についても文献を調べ, 環状単量体のデータとも比較して検討した。なお, アジポイルクロリドの溶媒としてヘキサンを用いているが, これとヘキサメチレンジアミンの水酸化ナトリウム溶液との界面重合により生成したナイロン66 の糸が弱いのは, 重合度ならびに結晶化度が低いためである。冷延伸法によりナイロンの糸を強化できることが知られているが, ナイロン66 は熱安定性が悪いため, 空気中での溶融紡糸が困難であることを確認した。
著者
大場 茂
出版者
日本結晶学会
雑誌
日本結晶学会誌 (ISSN:03694585)
巻号頁・発行日
vol.57, no.3, pp.147-154, 2015-06-30 (Released:2015-07-01)
参考文献数
11

The second lesson in this tutorial course of SHELXL includes restraints and constraints of the geometrical as well as the atom displacement parameters, and the strategy of the modeling and refinement of the disordered structures. Treatment of a troublesome disorder of pentane around the special position will be illustrated. The effect of randomly distributed solvents may be corrected either by a bulk solvent approximation or by using PLATON/SQUEEZE as a filter. Some examples of disordered inorganic structures are shown, where the atom occupation factors have been restrained to maintain the electric neutrality of the crystals.
著者
津曲 茂久 東野 利忠 高木 香 大場 茂夫 佐藤 昌介 武石 昌敬
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
日本獣医学雑誌 (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.53, no.5, pp.797-801, 1991-10-15
被引用文献数
1

妊娠馬10頭を用いて妊娠1から11ヶ月まで, 血漿中estrogen, gestagen, cortisol (F), 13, 14-dihydro, 15-keto-PGF_2α(PGFM)および妊馬血清性性腺刺激ホルモン(PMSG)を測定した. estron (E_1)とestradiol-17β(E_2)は妊娠8ヶ月前後にピークを示し, progesterone (P)は妊娠3と11ヶ月で増加し, 17α-OH-progesterone (17α-OHP)は妊娠3ヶ月に明瞭なピークを形成した. 20α-OH-progesterone (20α-OHP)は妊娠6ヶ月より急激に上昇した. PGFMは妊娠2と11ヶ月にピークを示し, FとPMSGは妊娠2と3ヶ月にそれぞれピークを示した. 因子分析において, 妊娠月齢, E_1, E_2, 20α-OHPは妊娠進行に伴い増加する変数として第一因子に含まれた. PMSG, 17α-OHP, Pは副黄体に関係する変数として第二因子に, PGFMとFは妊娠2ヶ月における変化により, 第三因子に区分された. Pは第二因子に含まれたが, 第一と第三因子にも影響を受け, PGFMとは対立的な関係性を示した. 結論的には, 第一因子に含まれたE_1, E_2および20α-OHPは妊娠6ヶ月以降の胎盤機能の指標として有用であることが示唆された.
著者
大場 茂
出版者
The Crystallographic Society of Japan
雑誌
日本結晶学会誌 (ISSN:03694585)
巻号頁・発行日
vol.38, no.3, pp.201-207, 1996-06-30 (Released:2010-09-30)

Several cautions concerning the assignment of Bravais lattice and space group are presented for beginners in X-ray crystal structure analysis.
著者
大場 茂
出版者
The Crystallographic Society of Japan
雑誌
日本結晶学会誌 (ISSN:03694585)
巻号頁・発行日
vol.37, no.1, pp.62-68, 1995-02-28 (Released:2010-09-30)
参考文献数
20

Nitrite ion is a well-known ligand which shows linkage isomerism. The photo-isomerization in the solid state is governed by at least two factors: (a) electronic effect by coexisting ligands, and (b) reaction cavity of the nitro group. Recent X-ray study has revealed that the nitro-nitrito photo isomerization in a crystal is severely governed by intermolecular steric restrictions.
著者
大場 茂
出版者
日本結晶学会
雑誌
日本結晶学会誌 (ISSN:03694585)
巻号頁・発行日
vol.57, no.4, pp.211-218, 2015-08-31 (Released:2015-09-01)
参考文献数
10

The 3rd lesson in this tutorial course of SHELXL includes an overview of the instruction commands, a brief guide to their input formats, some Q&A concerning their applications, and a review of the treatments against disordered crystal solvents in recent papers.
著者
大場 茂明
出版者
経済地理学会
雑誌
経済地理学年報 (ISSN:00045683)
巻号頁・発行日
vol.40, no.2, pp.126-138, 1994-05-31

世紀転換期のドイツにおいては, 労働者階級の住宅問題(小住宅問題)が社会政策の焦点となった. 本稿では, 急激な工業化の結果, 住宅問題が深刻化したルール地域の工業都市エッセンを事例に, 様々な主体による非営利的住宅供給と自治体の住宅政策の展開について, 当時の都市計画, 都市内部構造の分化という空間的側面から考察を行った. 当該地域においては, クルップ社による社宅の大量供給がみられるものの, 他の非営利的住宅供給主体(住宅協同組合, 公益的建設会社, 市営住宅)による供給量はわずかであった. しかも, 同市の間接的住宅政策は, 土地政策, 都市計画と連関しつつ実施され, 後の住宅事情の改善や郊外における良好な市街地形成に貢献した点では評価さるべきものであるが, それは中間層に対する助成策が主体であり, 小住宅問題の改善においては限界があった.
著者
小玉 徹 矢作 弘 北原 徹也 小長谷 一之 佐々木 雅幸 大場 茂明 桧谷 美恵子
出版者
大阪市立大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

研究代表は、2007年3月、「大不況以来で最悪の10年間」と表現されるニューヨークの深刻なホームレス問題について調査(自費)した。そこで明らかになったことは、1996年の福祉改革によるワークフェアへの移行により、住宅への補助が削減されるとともにジェントリフィケーションの影響で家賃が上昇し、ワークファーストを強いられたワーキングプアとなった母子世帯がシェルターでの生活を余儀なくされている、という事態であった。これに対してローカルな福祉システムが作動しているドイツでは、高い失業率にもかかわらず、失業扶助、社会扶助、住宅手当によりソーシャル・ミックスが維持されてきた。しかしながら2005年以降、ハルツ改革によりワークフェアへと移行したことで、住宅手当、就労支援の両方にかかわる変更がなされ、都市での社会的分離の進行が危惧されていることが、最近、刊行された論考で指摘されている(Kafner S.,2007,"Housing allowances in Germany".in Kemp P.A.ed.Housing allowances in comparative perspective,The Policy Press).。なおドイツでは1999年以降、問題地域の対応プログラムとして社会的都市(soziale stadt、全国200カ所)がスタートしている。ニューディール・コミュニティ、都市再生会社によるイギリスのインナーシティ再生では、ニュー・エコノミーによる雇用の拡大、住宅、雇用、小売り、コミュニティ・サービスとレジャー施設のコンパクトな配置、さまざまな住宅テニュアの混合によるソーシャル・ミックスが意図されている。しかしながらこうした主張は、物理的な改変が社会問題の解決につながる、というニュー・アーバニズムに依拠している。
著者
滝山 直昭 庄司 沙織 幅田 功 大場 茂夫
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.68, no.6, pp.631-633, 2006-06-25

マレイン酸チモロールのゲル化点眼薬(TMGS)の眼圧,血圧,瞳孔径に対する効果をビーグル犬において検討した.6頭の正常眼圧ビーグル犬にTMGSを1日1回投与した.TMGS処方により眼圧と瞳孔径が減少した.眼圧下降作用は点眼24時間持続した.眼圧は平均5.3mmHg減少した(P<0.01).血圧と瞳孔径に有意な変化はみられなかった.以上からTMGSは犬の緑内障および高眼圧の治療に用いられる可能性が示唆された.