著者
加藤 宏幸 KATO Hiroyuki
出版者
岩手大学人文社会科学部
雑誌
言語と文化の諸相
巻号頁・発行日
pp.277-291, 1999-03-10

アンドレ・ジッドの『狭き門』は彼の作品の中でもっともよく読まれている。そして多くの人は、この小説は悲恋を扱った甘美な恋愛小説であると思っているのではなかろうか。そのような体裁をとってはいるが、ジッドはこの作品の中で非常に重要な問題を提起している。一方『背徳』について言えば、『狭き門』ほど読まれてはいないが、そこにもやはり重要な問題が提起されている。作者は問題を提起しただけで、それに対する回答は示していない。この2つの作品を対比することによって、その間題を明らかにしたいと思う。

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