著者
竹上 静夫 笹井 一男
出版者
岡山大学農学部
雑誌
岡山大学農学部学術報告 (ISSN:04740254)
巻号頁・発行日
no.19, 1962-03

(1)本実験は岡山大学農学部圃場において,普通栽培した甜菜について,昭和35年8月15日を移植期として同7月15日播の株を大苗(草丈約30cm,本葉数12~14枚,根長12~13cmに切断)とし,7月21日播の株を小苗(草丈約15cm,本葉数4~6枚,根長6~7cmに切断)として移植栽培試験を行つた.(2)本圃における元肥施用の有無は小苗にとつてはその活着にきわめて密接な関係を生じ,元肥施用後に移植すると活着障害をおこして枯死株を続出するが,大苗では元肥施用の有無に無関係に活着する.(3)移植当時の切わら被覆は本試験の範囲ではその活着に見るべき差異を生じなかつた.(4)大苗区は小苗区より収穫根重が大きい傾向がみとめられる.(5)移植栽培の収穫期における肥大根体の長さは,用いた苗の直根の長さによつて決定せられ,直根の長い苗よりは長い根体が得られる.したがつて長い無傷の直根を有する苗を移植することが,移植栽培成功の第一の鍵となる.この状態の幼若苗を得る手段としてのペーパーポット法は合理的である.(6)移植栽培にあたつて生ずる太い分岐根は苗令と密接な関係が察知せられ,幼令苗の直根切断がその原因となるようである.この苗令は本実験では4~6葉またはそれ以下の苗と推定できるが,これについては別途検討中である.(7)移植区と直播区との根体の比較について,地上へ抽出する冠頸部にも顕著な差異が認められ,移植株において地上抽出部が著しく大きい.たゞしこの抽出現象は秋播栽培のものでは春季になつてもみられないので,秋播のものには当てはまらない。

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