著者
堀内 一徳
出版者
奈良大学史学会
雑誌
奈良史学 (ISSN:02894874)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.112-126, 1992-12

マルク・ブロックによると、西欧ではカロリソグ時代以降、甲冑、槍、楯、剣で武装し騎馬で戦うエリートの戦士が存在し、十世紀頃に鐙が使用されると、長い槍がそれまでの短い槍に代り、また鼻当のちに面頬が加わり、さらに鎖帷子は皮か織物の綴合せの上に鉄の環や板を縫い合せて精巧となるが、このような武装は高価であり、富裕な人々のみが購うことができた。十二世紀には、騎士階級はその伝統をもたない家門の子弟を次第に排除し、以後社会の下層の者に対して門戸を閉し、十三世紀中頃から貴族身分を形成していったという。今日、騎士の起源が八世紀に遡るとか、また騎士が中世の貴族の起源であるという説は、大方のコソセソサスを得られない。しかしカロリソグ時代から十二世紀にかけての西欧の軍事技術の著しい進歩が、騎士階級ないしは身分の形成を促したことは間違いない。以下においてカロリソグ時代から一〇六六年のへースティソグズの戦までの期間に騎士が参加した主要な戦いにおけるかれらの戦術および武装について述べてみたい。

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こんな論文どうですか? 中世前期における騎士の戦術と武装(堀内 一徳),1992 http://t.co/nWeDM4vgRr マルク・ブロックによると、西欧ではカロリソグ時代以降、甲冑、槍、楯、剣で…
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