著者
朴 紅
出版者
北海道大学農学部農業経済学教室
雑誌
農経論叢 (ISSN:03855961)
巻号頁・発行日
vol.66, pp.81-91, 2011

黒竜江省は中国最大のジャポニカ米産地として知られている.水稲の作付面積は245万haであり,籾の総生産量は1,500万トンに上るが,そのうち,国有農場(農墾)のそれは103万ha (42%),840万トン(56%) であり,この地域の大きな特徴となっている(2008年現在).国有農場は,その組織改革のなかで稲作を戦略部門として位置づけ,三江平原を中心に水田開発を進めてきたが,生産に関しでは職工農家への請負制を行うとともに,それを産地として再統合し,巨大な加工・流通企業として頭角を現している.その一環として,農墾総局は傘下の優良農場を選別・統合して「北大荒農業㈱」グループを設立しているが,2001年には米穀の加工と販売のために「北大荒米業」を設立している.この企業は,グループ参加農場の産地化を図るとともに,籾保管・精米加工を行い,輪出を含む販売を行う巨大流通資本に成長し,中国における米のトップ企業に位置づけられている.以下では,米の生産・加工・販売という一連の流れのなかで,北大荒米業が果たしている機能について明らかにしていく.

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