- 著者
-
新島 龍美
- 出版者
- 九州大学大学院比較社会文化学府
- 雑誌
- 比較社会文化 : 九州大学大学院比較社会文化学府紀要 (ISSN:13411659)
- 巻号頁・発行日
- vol.17, pp.51-75, 2011
本研究は、アリストテレス作と伝えられる『大道徳学』(Magna Moralia)1185 b 15 に見られる'ε~κ τω~ν η~θικω~ν' の三語の理解の詳細な検討である。先ず、A. この三語を写本の読みのまま受け取る選択肢については、1「人柄に関わる事柄から」と特定の領域の現象を指示すると解する解釈、2アリストテレスの倫理学書に言及する書名と解する解釈のいずれも問題を招来することを示し、次に、B. 写本修正の試みの内、3'ε~κ τω~ν αισθη~σεων' 修正する試み、及び、4'ε~κ τω~ν αισθητω~νと修正する試みはいずれも問題に逢着することを示した上で、C. 問題の三語を'εξω τω~ν η~θικω~ν'(「人柄に関わる事柄の外で」)と修正する試みが最も問題が少ないことを示す。This study considers several interpretations on three words 'ε~κ τω~ν η~θικω~ν' in the supposedly Aristotelian work, Magna Moralia 1185 b 15 , to show that the attempt to revise the relevant words into 'εξω τω~ν η~θικω~ν' would be least problematic.