著者
元濱 涼一郎
出版者
奈良大学総合研究所
雑誌
総合研究所所報 (ISSN:09192999)
巻号頁・発行日
no.13, pp.75-82, 2005

本稿は、明治における、日本の国民国家形成を事例とする、著者の一連の研究1)に位置付けられるものである。ただし、上記は何れも、近世から近代への移行を、全体社会の解体と再編の過程と捉えて、その内部組織の解体と再編を分析と記述の機軸としていたが、本稿では、外部組織との関係でこれを概括・記述することを意図している。それには、国民国家内部の地域と空間に止まらず、対外的関係の下での国民国家の領域的境界(端的には「国境」)の確定に関わる諸契機、諸条件を問題にしなければならないであろう。そして、この目的に即して見るとき、近代国民国家の形成過程において、明治政府の重要な内政即外交課題であった琉球帰属問題の経緯を追うことは、はなはだ有効である。なぜなら、琉球は、近世にあっては、薩摩藩の属国でありながら、薩摩の財政を支えるために、独立王国の体裁を保って清王朝に朝貢(冊封)していた(両属すなわち日本と中国に二重帰属)という特異な歴史を有しており、その経緯に由来して日清間に国境紛争を生じたことから格好の素材を提供しているからである。

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CiNii 論文 -  日本における近代国民国家の形成と地域拡大--琉球の統合についての覚書 http://t.co/3rCkdWse #CiNii

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