著者
児玉 望 コダマ ノゾミ Kodama Nozomi
出版者
熊本大学文学部言語学研究室
雑誌
ありあけ 熊本大学言語学論集
巻号頁・発行日
vol.6, pp.1-22, 2007-03-30
被引用文献数
4

本拙稿では、まず川上氏の「句」の概念に関わる記述が、近年の内外の韻律研究でしばしば言及されているものとどのように対応しどの点で不一致があるのか、またどの点が単なる記述の方向性の違いでありどの点がより本質的な事実認識の差であるのかを整理することを試みる。その上で、川上氏の「句」が、東京方言アクセントの記述としてその音声的実現の観察と音韻論的な解釈の両面でより妥当なのはもとより、純粋に音韻論上の実体として鹿児島方言やアクセントの型の区別のない熊本方言にも観察されかつ分析されうる、という拙論を補強するために、アクセントの実現形交替以外の「句」に関わる考えられる言語事実を挙げ、今後の方言韻律構造研究を念頭に韻律構造階層についてあらためて考察する。

言及状況

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