著者
西村 史子
出版者
和光大学現代人間学部
雑誌
和光大学現代人間学部紀要 (ISSN:18827292)
巻号頁・発行日
no.2, pp.79-91, 2009-03

日本の義務教育制度は、就学義務を原則としてきたが、近年の規制緩和の動向の中で、これは揺らぎつつある。1967(昭和42)年に導入された「義務就学猶予・免除者等の中学校卒業程度認定試験」は、当初は養護学校での教育もままならない病弱・虚弱の児童生徒に高等学校進学の希望を与えるための例外的措置であったが、養護学校の義務化、不登校生徒児童生徒や外国人子女への対策が講じられて、教育選択の自由を保障する一制度となっている。しかしながら現在では、むしろ日本の義務教育学校を利用できない、あるいはそれから除去された裕福ではない外国人子女に後期中等教育機関への進学を保障する救済機能を果たしつつあり、その教育費用の支弁の在り様を、日本国憲法の「義務教育の無償」規定を改めて見直しながら検討する段階を迎えている。

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