著者
シュスターマン リチャード 大石 昌史
出版者
三田哲學會
雑誌
哲学 (ISSN:05632099)
巻号頁・発行日
vol.131, pp.323-348, 2013-03

講演この発表は, 私の哲学的研究を導いてきた, また, 身体感性論somaesthetics の中心をなす理論と実践の統合を強調するところの, 越境的で経験的な探究inquiry のプラグマティックなモデルを検証するものである. 基本的な考え方は, 探究は, その過程で獲得される経験, すなわち, 継続中の探究がそのエネルギーを将来の方向へ向け, また, その結果を回顧的な確認へと向かわせるところの力動的な経験を通じて, 探究それ自体として, 新たな方向, 形式, 方法, 基準を発展させ得るということである. (このようなモデルは, 探究には, 独立に基礎づけられ, 探究の過程に先立つ, 探究と評価を支配する外的な基準となるところの方法の確定や妥当性の論理的な基準が必要だとする, よく知られた考え方とは対照的である. )私は, このような探究の経験的モデルを, 私の美学的研究における例証を通じて, すなわち, どのようにプラグマティズムの美学における探究が身体感性論の試みへと, そして現代アートの研究, および芸術的パフォーマンスを通じた探究という考えへと至ったかを跡づけることによって, 検証する. なお, この発表は, 『プラグマティズムの美学(生き生きとした芸術)Pragmatist Aesthetics (L'art à l'état vif)』の(フランス語版と英語版の)出版20周年を記念したソルボンヌ大学での国際会議と連動して, (2012年5月24日から6月6日まで)パリで私が企画した最近の芸術展示に依存している.

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