著者
大島 田人 八角 真
出版者
明治大学教養論集刊行会
雑誌
明治大学教養論集 (ISSN:03896005)
巻号頁・発行日
no.108, pp.p98-173, 1977

大正四年一月の「中央公論」に発表された鷗外の「山椒大夫」は、「歴史其儘と歴史離れ」(大4・1「心の花」)に紹介されている伝説の梗概から推して、寛文版の古浄璃瑠説経節「さんせう太夫」の流布本あたりを一応の下敷にしたものと思われる。地理的にも岩代-直江津・高田-丹後由良-佐渡、更には遠く津軽のイタコの語る「お岩木様一代記」、また大阪の天王寺、或は京都東山の清水寺、東京では杉並区方南町の「東運寺」(通称「釜寺」)と、広域に亘って分布され、刊本も四十指に余り、絵本に至っては三百四十種を数えるという、口碑伝説の常として、様々なかたちをとって継承されて来たこの長者物語が説教節に載せられる以前、つまり平安期の、いつ頃、何処で、元々何を拠り所として、どんな話として発生したものやら、民俗学の分野からも既に彼此考証されていながら、未だに結論は出ていない。

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