著者
阿久津 洋巳 AKUTSU Hiromi
出版者
岩手大学教育学部附属教育実践総合センター
雑誌
岩手大学教育学部附属教育実践総合センター研究紀要 (ISSN:13472216)
巻号頁・発行日
no.13, pp.245-252, 2014

岩手大学教育学部は学期末に授業評価を実施するが,実施された結果を詳細に検討した報告書はまだ公表されていない。筆者は授業評価が測定している構成概念と測定される概念間の関連,および評価が高い授業の特性を調べるために,2013年度前期に集められた実際の評価データー(1680ケース) に多変量解析を適用して分析した。「教員の授業の技量と学生の満足度」「授業に対する学生の興味と意欲」「授業外の活動」「シラバスの評価」の4つの要因が見出された。技量・満足度と興味・関心の間に関連があり,また技量・満足度とシラバス評価の間にも関連があった。評価の高い授業は,話し方が明瞭で聞き取り易く,よく準備されていて,学生の理解に配慮して適度な分量と速さで進むという特性をもっていた。一方測定尺度としての欠陥も見つかった。評価アンケートは回答が特定の値に集中し、分布は偏っていた。尺度の信頼性は検討されていなかった。信頼できる評価尺度の開発が必要である。

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