著者
阿久津 洋巳 浅野 壮志 AKUTSU Hiromi ASANO Takeshi
出版者
岩手大学教育学部附属教育実践総合センター
雑誌
岩手大学教育学部附属教育実践総合センター研究紀要 (ISSN:13472216)
巻号頁・発行日
no.9, pp.65-71, 2010

現代社会に生活する多くの人は,1週間を一つの周期としている.この周期は「日曜日が好きだ」とか「月曜日は嫌いだ」という大まかな曜日の好き嫌いに現れたり,曜日ごとに様々に変動する感情をもたらす.ポジティブ感情(PA)とネガティブ感情(NA)は,曜日ごとに変動することが知られており,この変動は「曜日の効果」と呼ばれることもある.「曜日の効果」に関する先行研究は,活性化したPA と「快感情(Pleasant affect)」を区別する必要があることを明らかにしている(Egloff,Tausch,Kohlmann & Krohne, 1995).活性化したPA(以下単にPA とよぶ)は覚醒感をともなっているが,一方,快感情は高い活性状態をともなっておらず,「幸せ」や「うれしい」のような穏やかで持続的な気持ちを含んでいる.活性化したネガティブ感情,つまり緊張や不安といった気持ちを含むNA(以下単にNA とよぶ)と,悲しみや不幸といった気持ちを含む「unpleasant affect(不快感情)」についてもPA と同様のことが言える.
著者
阿久津 洋巳
出版者
日本官能評価学会
雑誌
日本官能評価学会誌 (ISSN:1342906X)
巻号頁・発行日
vol.12, no.2-2, pp.94-101, 2008-10-15 (Released:2012-12-28)
参考文献数
16

This study investigated the effect of character size on the legibility of sentences, using reading materials with several font sizes (from 4 to 10.5 point of Microsoft Mincho). Participants evaluated the legibility of the materials (Japanese sentences) with a questionnaire containing 13 items, and the legibility was estimated by applying the Item Response Theory to the questionnaire data. The legibility increased approximately in linear with the font size : Reading materials with font sizes of 4 and 6 were evaluated as less legible, those with font size of 10.5 were evaluated as more legible, and those with a font size of 8 were evaluated as “neutral”. Visual acuity of participants influenced the legibility evaluation, though the effect was small.
著者
阿久津 洋巳 近藤 雄希
出版者
日本官能評価学会
雑誌
日本官能評価学会誌 (ISSN:1342906X)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1-2, pp.26-33, 2010-04-15 (Released:2012-12-28)
参考文献数
25

To determine the character sizes suitable for comfortable reading, we compared the legibility of sentences and the reading speed. We used reading materials with several font sizes (from 4 to 30 point of Microsoft Mincho). In Experiment 1 participants evaluated the legibility for Japanese sentences with the questionnaire. The legibility increased with the font size between 4 and 12 point. In Experiment 2, we extended the font size up to 30 point, and found the legibility decreased with that between 20 and 30 point. In Experiment 3 participants read aloud Japanese sentences as fast as they could (with no errors). Reading speed increased with the font size between 4 and 6 point, but did not increased with that between 6 and 15 point. Together with our previous findings, we conclude that character sizes suitable for comfortable reading are approximately between 10 and 20 point (visual angle 0.46~0.92°).
著者
阿久津 洋巳 平田 光彦
出版者
岩手大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

文字を読みやすくする空間配置を調べるために2つの問題を設定した。一番目は、文字認知に縦と横の配置はどのように影響するかであった。日本語は縦書きも横書きもでき、多くの印刷物にもそのどちらかが使われている。実験により、文字を読む視野の大きさを推定したところ、縦書きより横書きのほうが視野は大きかった。この傾向は、米国人でも日本人でも同様であった。二番目に、縦書きと横書きの読みやすさを、読みの速さを指標として調べた。縦書きと横書きに、読みの速さに違いはなかった。さらに「書の文字の美しさ」を研究課題に加えた。書の点画構成による美的効果を測定する尺度を開発し、実際の書の評価を実施した。
著者
阿久津 洋巳 市原 茂 石戸谷 真由子
出版者
日本官能評価学会
雑誌
日本官能評価学会誌 (ISSN:1342906X)
巻号頁・発行日
vol.9, no.2, pp.116-121, 2005-10-15 (Released:2013-07-11)
参考文献数
4

We investigated the effect of music on emotions that were induced by two essential oils (peppermint and lavender). Participants (n=16) sniffed the stimuli of peppermint and lavender, and evaluated the emotional values while two pieces of music, one delightful and one gloomy, were presented. We found that the emotional values for the fragrances of these olfactory stimuli were influenced by the emotions induced by the music: delightful music enhanced the delightful mood induced by one of the essential oils (lavender), and gloomy music reduced the delightful mood induced by both oils.
著者
阿久津 洋巳 AKUTSU Hiromi
出版者
岩手大学教育学部附属教育実践総合センター
雑誌
岩手大学教育学部附属教育実践総合センター研究紀要 (ISSN:13472216)
巻号頁・発行日
no.13, pp.245-252, 2014

岩手大学教育学部は学期末に授業評価を実施するが,実施された結果を詳細に検討した報告書はまだ公表されていない。筆者は授業評価が測定している構成概念と測定される概念間の関連,および評価が高い授業の特性を調べるために,2013年度前期に集められた実際の評価データー(1680ケース) に多変量解析を適用して分析した。「教員の授業の技量と学生の満足度」「授業に対する学生の興味と意欲」「授業外の活動」「シラバスの評価」の4つの要因が見出された。技量・満足度と興味・関心の間に関連があり,また技量・満足度とシラバス評価の間にも関連があった。評価の高い授業は,話し方が明瞭で聞き取り易く,よく準備されていて,学生の理解に配慮して適度な分量と速さで進むという特性をもっていた。一方測定尺度としての欠陥も見つかった。評価アンケートは回答が特定の値に集中し、分布は偏っていた。尺度の信頼性は検討されていなかった。信頼できる評価尺度の開発が必要である。
著者
阿久津 洋巳 石亀 雅哉 AKUTSU Hiromi ISHIGAME Masaya
出版者
岩手大学教育学部附属教育実践総合センター
雑誌
岩手大学教育学部附属教育実践総合センター研究紀要 (ISSN:13472216)
巻号頁・発行日
no.11, pp.167-175, 2012-03-31

大学生の共通教育科目の学力は,合理的な手立てとして多くの場合試験によって評価される。受講生の人数が多いため,客観式テストによる学力評価が望ましいが,信頼性のあるテストを作成することは容易なことではない。本研究は,項目反応理論を用いて,適正な評価を行うために必要な試験問題の選び方とその採点の方法について検討した。そのため実際の共通教育試験問題のデータに対して項目反応理論を適用し,不適格な問題項目を見出し,それらの問題項目を取り除いた採点結果と初めの試験問題を使った通常の採点結果とを比較した。項目反応理論を適用する有効性がいくつかの側面で明らかとなった。
著者
阿久津 洋巳 AKUTSU Hiromi
出版者
岩手大学教育学部附属教育実践総合センター
雑誌
岩手大学教育学部附属教育実践総合センター研究紀要 = The Journal of the Clinical Research Center for Child Development and Educational Practices (ISSN:24329231)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.61-70, 2017-03-31

本論文は入学試験に使われる小論文の採点時の集計方法を検討した。小論文テストでは,採点者間の得点(素点)の分散が評価の公平性に影響する。この問題の解決方法は素点をz変換して分散を調整することにあるが,素点の平均と分散調整済み得点の平均の違いを明らかにするために数値シミュレーションを使いた。さらに現実場面に近い条件で,素点の分散の違いが順位に及ぼす影響を推測した。これらの例示を通して,素点をz変換する方法がもつ利点を明確にした。
著者
東 真由美 阿久津 洋巳
出版者
岩手大学教育学部附属教育実践総合センター
雑誌
岩手大学教育学部附属教育実践総合センター研究紀要 (ISSN:13472216)
巻号頁・発行日
no.10, pp.157-162, 2011

本研究は,音楽によって引き起こされた気分が人の表情の認知に影響するかを調べた.表情には笑顔と悲しい表情と中立の表情を選び,コントラストを低くした写真にランダムノイズを加え,短時間提示した.提示された顔写真の感情を評価することにより,表情の認知を測定した.楽しい気分を誘導する音楽と悲しい気分を誘導する音楽を使用して,実験参加者の気分を操作した.音楽は,すべての表情に対してその感情評価に影響し,音楽の気分に沿って顔写真の感情表を変化させたが,その変化は大きくなかった.背景音楽は顔写真の感情を認知する際に影響するが,その条件と影響の量は限定されていると考えられる.
著者
阿久津 洋巳
出版者
日本官能評価学会
雑誌
日本官能評価学会誌 (ISSN:1342906X)
巻号頁・発行日
vol.12, no.2, pp.94-101, 2008

This study investigated the effect of character size on the legibility of sentences, using reading materials with several font sizes (from 4 to 10.5 point of Microsoft Mincho). Participants evaluated the legibility of the materials (Japanese sentences) with a questionnaire containing 13 items, and the legibility was estimated by applying the Item Response Theory to the questionnaire data. The legibility increased approximately in linear with the font size : Reading materials with font sizes of 4 and 6 were evaluated as less legible, those with font size of 10.5 were evaluated as more legible, and those with a font size of 8 were evaluated as "neutral". Visual acuity of participants influenced the legibility evaluation, though the effect was small.