著者
永島 剛
出版者
慶應義塾経済学会
雑誌
三田学会雑誌 (ISSN:00266760)
巻号頁・発行日
vol.97, no.4, pp.541-559, 2005-01

本稿は, 近代における生活環境とその変化を多面的に捉える試みの一環として, 水系感染症のひとつである腸チフスの罹患・死亡データが, 都市の衛生環境を検討する際に重要な手がかりとなることをしめす。事例として, 大正期東京市をとりあげる。とくに山手地域で腸チフスが多発していたことを指摘し, その要因として, 急速な都市化の過程で顕在化した給水, 下水処分の問題に注目する。As part of a project exploring historical changes in living environment, this study shows that morbidity and mortality data of water-borne infectious diseases, in particular typhoid fever, can be important indicators of urban hygienic environments. As a case study, this article considers the city of Tokyo during the Taisho era. It examines why uptown Tokyo had a higher incidence of typhoid, focusing on the problems relating to water-supply and sewage treatment which arose in the rapid urbanization process.小特集 : 日本における生活水準の変化と生活危機への対応 : 1880年代-1980年代

言及状況

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"都市化がさらに急激化したこの時期の東京で,その負荷の影響を深刻に受けたのは,貧困層ばかりではなかったことは,腸チフスが富裕層の多い山手地域での蔓延がとくに深刻であったことから推察される" →病気と階層

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「大正10年における乳幼児死亡率改善」と「後藤新平」~専門知とは何か~」 http://t.co/XpjDIVqZFn 後藤新平の話はともかく…、水系感染症と上水道の話は永島剛論文 http://t.co/rAK6gAVmA7 を読んでいただきたい。東京の上水道はコレラ予防には→

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