- 著者
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安井 眞奈美
- 出版者
- 京都大学ヒマラヤ研究会
- 雑誌
- ヒマラヤ学誌 : Himalayan Study Monographs (ISSN:09148620)
- 巻号頁・発行日
- vol.7, pp.61-78, 2000-06-30
目次氏名「安井 真奈美」文化人類学を専攻する筆者は, これまで日本やミクロネシア地域を主なフィールドとして, 出産に関する慣習や人々の考え方の変化を明らかにしながら, 文化変容や「近代化Jについて論じてきた. 今回, ブータン王国を訪れる機会を得, 同じく出産というテーマから, ブータン社会の現状に迫りたいと考えた. 出産に注目することは, ブータンの死生観を明らかにする切り口を得るばかりでなく, ブータンの医療の現状を垣間見ることにもつながる. 本稿では, 筆者の現地調査の成果に基づき, ブータンの伝統的な出産の方法や出産に関する慣習を紹介し, あわせてティンプー総合病院にて出産に立ち会った様子の記述を試みた. 90%以上の女性が自宅で分娩している昨今, 出産環境の改善は最重要課題のーっとみなされているが, それと同時に出産に関する儀礼やさまざまな慣習, 人々の出産観を含めた広い視野での学際的な調査研究が待たれる.