著者
呉 栽喜 オウ ジエヒ Oh Jaehee
雑誌
大東文化大学紀要. 社会科学 (ISSN:09122338)
巻号頁・発行日
vol.52, pp.53-67, 2014-03-31

子どもの貧困は、経済的困難を表すだけでなく、子どもの成長過程における様々な体験からの剥奪を意味する。日本では貧困研究は1970年代までは盛んであったが、その後の経済成長とともに貧困の問題は注視されずにいた。特に、子どもの貧困に関する社会福祉研究は乏しく、地域社会や家族における「子ども貧困」という捉え方としての研究はあまり蓄積されてないのが現状である。貧困状況が顕著な母子家庭において母親の就業率が他の世帯より高い状況にも関わらず多くの母子家庭の子ども達において貧困率が高くなっており、その原因として、日本における教育関係の公的支出が少ないことや、貧困のリスクを抱える層の税・社会保障負担が大きすぎることも子育て家庭における高い貧困率の原因であることが明らかになった。子ども期の貧困状況を改善することは、子育てを「家庭の責任」から「社会の責任」へと捉え直していくことが求められる。

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