著者
近藤 佳代子
出版者
宮城教育大学
雑誌
宮城教育大学紀要 = Bulletin of Miyagi University of Education (ISSN:13461621)
巻号頁・発行日
no.49, pp.354-368, 2015-01-28

現行民法第750条は、「夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫又は妻の氏を称する。」と規定し、「夫婦同氏制」を採用している。夫の氏又は妻の氏のどちらを婚氏=夫婦の氏とするかは、当事者の選択に任されているが、現実には、約96パーセントの夫婦が夫の氏を選択している。他方、この規定は、夫婦同氏を「強制」するものでもある。いずれかの氏を選択しなければ、婚姻届は受理されないのである。この同氏強制を不都合とする夫婦が、次第に増加してきた。 本稿は、日本近・現代国家の家族政策を、「氏」とくに「夫婦の氏」の視点から考察する。明治初年、民法典編纂過程、戦後改革、そして現代に至る迄を考察対象とする。本巻においては、民法典の成立までを考察する。1996年(平成8)、法制審議会は、選択的夫婦別氏制を含む民法改正要綱をとりまとめ、法務大臣に答申を行った。しかし、改正は未だ実現していない。現在では「当然」のように言われている夫婦同氏制は、1898(明治31)年の民法施行に始まる。日本は、それまで、夫婦別氏制の国であった。夫婦別氏から同氏への制度転換は、どのような意図を持って為されたのか。そもそも、「氏」が、近代国家政策において、どのような意義を持たされたのか。

言及状況

Twitter (9 users, 13 posts, 23 favorites)

前近代については前述のように人名の常識が全く違うので、後世の学者の異論はありますが、 明治23年の時点で庶民の実態や戸籍実務の主流が夫婦同苗字だったことは学問上争いはありません。 https://t.co/ynD3VnMuOp
前近代については前述のように人名の構造が全く違うので、後世の学者の異論はありますが、 明治23年の時点で庶民の実態や戸籍実務の主流が夫婦同苗字だったことは学問上争いはありません。 続く https://t.co/ynD3VnMuOp
前近代については人名の構造が全く違うので後世からの異論はありますが、 明治23年の時点で庶民の実態が夫婦同苗字だったことは学問上争いはありません。 続く https://t.co/ynD3Vo3xQp
@32ohoQKRTpnUPAe @ID_Seiron @AnimeDaisuki776 @kororo0502 @DhHcm7e3M9CJTTd @2kUow @nipponkairagi @fuhkyo あと穂積八束の意見の原典を提示して頂きありがとうございます。 そのあたりの事情はこちらの論文に詳しいようです。 夫婦の氏に関する覚書 近藤佳代子 宮城教育大学 https://t.co/WuxvVC9P4v

収集済み URL リスト