著者
井上 早央梨
出版者
法政大学国際文化学部
雑誌
異文化. 論文編 (ISSN:13493256)
巻号頁・発行日
no.16, pp.17-36, 2015-04

本論文は、第二次世界大戦中の、ブラジル日系移民の置かれた情勢と社会的・文化的活動の考察を目的とする。1908 年にブラジル政府と日本政府の合意のもとに始まったブラジル移民は、1930 年代に絶頂期を迎えるが、その後のブラジル政府の政策と日中戦争の開始により移民数は減少する。日本が戦争において勢力を上げることでブラジル国内での反日の傾向が強まるなか、日系移民は独自のコロニアを建設し、ブラジルで生まれた二世への日本語教育や日本文化の保持に努めた。戦前と同様に、日本への帰国を願っていた日系移民にとって、第二次世界大戦において本国日本が勝利することは、彼らの帰還のための必要条件であった。日系移民にとって第二次世界大戦期は、帰国を目標としてきたそれまでの生活から、日本の敗戦によりブラジル永住を決意するまでの転換期といえる。

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