著者
井上 和人
出版者
関東学院大学[文学部]人文学会
雑誌
関東学院大学文学部紀要 (ISSN:02861216)
巻号頁・発行日
vol.131, pp.305-322, 2014-12

西沢一風作『風流今平家』(元禄十六年三月刊)の副題簽をとりあげ、その記載内容を検討、自作における方法を一風自らがどのように解き明かしているのか考察する。主な考察の対象は、副題簽中で使われている表現技法に関わる語彙である。作品本文や他の一風浮世草子にも対象範囲を広げ、導き出した要点を整理すれば、以下のとおりである。(一)一風の語法に従えば、「やつす/やつし」とは「面影をうつす/うつる」ことに等しい。(二)「うつす/うつる」のみで「面影をうつす」の意味で用いている例もあり、それらも「やつす/やつし」と同意である。(三)「面影をうつす/うつる」とは、「どことなく似ている」程度ではなく、「酷似する」こと。一風の語彙では「生きうつし」である。(四)右記三項から、一風の語彙においては、「やつし」は原拠に似ることを必要条件とする。

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井上 和人 -  おもかげ・うつす・やつし : -『風流今平家』副題簽による一考察- http://t.co/JbNKaNYf6X #CiNii

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