著者
渡久山 幸功 Tokuyama Yukinori 本学非常勤講師 英米文学
出版者
沖縄キリスト教学院大学
雑誌
沖縄キリスト教学院大学論集 = Okinawa Christian University Review (ISSN:13498479)
巻号頁・発行日
no.11, pp.1-11, 2015-03

本小論では、ジョージ・エリオットの最高傑作長編小説『ミドルマーチ』におけるヴィクトリア朝の女性表象のステレオタイプと作者の結婚観を分析する。当時支配的であったステレオタイプ的な女性像を利用することによって、女性に悪影響を与える19世紀の家父長制英国社会を描いており、女性主人公であるドロシアとロザモンドの両者の結婚を比較しながら、エリオットは家父長制下の結婚制度を支持しているが、それは、エリオットにとって、健全な家庭生活が共同体の調和の構築に重要な役割を担っていると感じていたからである。高額な遺産の受け取りを断念してまでも、再婚を決意するドロシアの行動は、逆説的ではあるが、家父長制への抵抗という隠喩の機能がある。エリオットは、現実主義者であり、女性への適切な教育なしでは、女性の政治参加を理想化することはできなかったが、女性の政治参加に対する彼女の両価的な(アンビバレントな)態度は、『ミドルマーチ』の主要女性登場人物のステレオタイプ的な人格描写に明確に表現されている。

言及状況

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こんな論文どうですか? 英国女性観のステレオタイプの擁護と転覆 : 『ミドルマーチ』におけるヴィクトリア朝の結婚観とフェミニスト観の検証(渡久山 幸功ほか),2015 https://t.co/K4V7YUUbqs 本小論では、ジョージ・エリオット…

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